機械の解剖



昔、「 セント・オブ・ウーマン 夢の香り」と言う映画で、
盲目の主人公に扮するアルパチーノが、目が見えないのに
拳銃を分解して組み立てる場面が出てきた。
良く設計されたメカと言うものはああいうもので、目が見えなくても
訓練により分解組み立てが出来るのである。
ちなみにアルパチーノはこの映画でがアカデミー主演男優賞を受賞した。

旧ソ連が開発生産したトカレフと言う拳銃は、手袋をしたまま、
分解掃除が出来たという。

機械を分解していると、設計者のささやきが聞こえてくる。
何故その部品のその部分が凹んでいるのか、なぜそんな
所に突起があるのか。
そんなささやきを聞きながら機械を分解するのはとても
楽しいことなのだ。




以下はこのブログのおまけ、ダイニチのファンヒーターの分解方法であるが、
もちろんこの分解と組み立てにより、何らかの不具合が
発生しても、 igotenは全く関知しない ので、自己責任で
お願いします。
私はこの分解の写真を撮るために、2回もこのファンヒーターを
分解組立してしまった。
新年から暇だな。

『ダイニチ FW-322S』を分解する。




これが操作部である。



機械の解剖 機械の解剖

使用する道具はプライヤー、10mmスパナ、ドライバーである。
まず正面下の2本のビスを外し、フロントパネルの下を少し手前に引いて、
上に押すと、フロントパネルが簡単に外れる。


機械の解剖

後ろのビスは4本外す。




さてフロントパネルが外れたら、バーナーのカバーを外す。
写真の7本のビスを外す。



機械の解剖

操作パネルを上に引っ張って外し、2番のフラットケーブルを手前に
引いて抜く。
1番の過熱センサーのコードも引っ張って抜く。


機械の解剖

左側の壁を少し開くようにして、バーナーのカバーを上に
引っ張るとカバーが外れる。


機械の解剖

フレームロッドを磨く場合は、1番のビスを外して、ロッドを押さえている
カバーを外す。


機械の解剖

さてここからが本当の分解になる。
まず燃料パイプを切り離す。
10mmのスパナを写真のようにセットして、矢印の方向に回す。


機械の解剖

4本のビスを外して、バーナーの部分を切り離す。
矢印の奥のところに突起があって、下の板金に差し込みと
なっているので、矢印の部分を少し右に押すと、差し込みが外れ、
カバーの部分が手前に引き出せる。


機械の解剖
矢印のパイプを上に引いてゴムのブッシュから
抜けば、バーナーの本体が外れる。
1、2、3の線も基盤のコネクタから抜く、コネクターは、
抜け防止が付いているものと、付いていないものが有るので
注意を要する。
抜け防止が付いているものは、フックの部分を押すことによって、
抜けてくる。

プリント基板のどこにケーブルをセットすればいいかは、何も
記録しなくても分かるようになっているので、安心して引き抜く。


機械の解剖

バー名を外したら、ソレノイドを外して、ニードルの部分を分解する。
ソレノイドは、灯油戻しパイプと友絞めとなっているので、パイプを
スパナで外す。


機械の解剖
パイプが外れるとソレノイドが取れる。
2がソレノイドで1がヒーター、矢印の部分から灯油が気化されて
噴出される。


機械の解剖

ソレノイドを分解した写真。


機械の解剖
ソレノイドが入っている筒のパイプを外した後の、ネジの切ってない
部分をプライヤーではさんで引っ張ると、中からソレノイドプランジャー
とスプリング、ニードルが出てくる。
要するにこの部分は外のソレノイドのコイルに電流を
流し筒の中のソレノイドプランジャーをヒッパタリ離したりして、
小さな灯油噴出しの穴を、塞げたり開いたりするのである。


機械の解剖
ちょっと見にくいのであるが、左側の部品にはゴムのOリング
が付いている。


機械の解剖

これがソレノイドプランジャーで左側のとがった部分が穴に入って、
燃料の噴射を遮断する。
この部分にスラッジ(汚れ)がたくさんつくと燃料噴射と遮断が
正確にできなくなるので、汚れていたら、カッターの刃などでこそぎ
取っておく。
穴は反対側から筒を吹いて空気が通ればOKである。


機械の解剖
この一番重要な部品に関して私なりの説明をしておく。
あくまでも推測である。
1--気化した灯油が噴き出す。
  噴出を止めるには穴をふさぐ。

2--灯油を気化させるヒーター。

3-- 気化した灯油を貯めるタンク。

4-- ヒーターの温度を測るサーミスタ。

5--灯油供給のパイプ。

機械の解剖
矢印は灯油のポンプで、これで灯油を気化器に送る。
動くとパコパコと音がする。
矢印のちょうど下の黒い丸い物は、灯油の有り無しを検出する
センサーで、タンクの中にフロートが有る、

機械の解剖
これが灯油ポンプ。
先にフィルターが付いている。


これは本来プリント基板などを部分的に冷やすためのものであるが、
パイプなどに押し当てて、圧縮の気体を送ることで、パイプや
その他の詰まり具合を点検することが出来る。
ただし弁のあるものは方向に注意する必要がある。

機械の解剖
送油ポンプが詰まっていないかは、フィルターを取り除いた後に、
1の部分から圧縮空気を入れてみるとわかる。
詰まっていない場合はシューと液体が出てくる。

これは気化器の部分も同じで、ニードルを外しておいて、送油管の
方から圧縮の液体を入れると、詰まっていなければ気体が
出てくる。



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2012年01月06日 Posted byigoten at 08:05 │Comments(6)その他

この記事へのコメント
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』は好きな映画です。
アル・パチーノから目が離せませんね。
しかし、igotenさんの細かい作業は頭が下がります。すごいです。修理業もできますね。
Posted by ひろかずひろかず at 2012年01月06日 18:51
ひろかず さん
 「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」いい映画でしたね。
 若くして盲目になってしまった主人公の無念さや、誇り高さ
 がアルパチーノにピッタリでした。
 私は単にメカ好きでどういう構造になっているか知りたいだけなのですが、
 やらなくてもいいことをやって結構機械物を壊し、痛い目に
 あってます。(笑
Posted by igotenigoten at 2012年01月06日 20:23
igotenさん こんばんは~
アルパチーノは 本当にいい作品に
出演していますよね♪
演技の素晴らしさは私でもわかります^^
昔の映画には今にない哀愁みたいのが
あって好きだなぁ~
この映画も見てみたいです
しかし igotenさんの分解能力もすごいやぁ~
「当局では一切関知しない」
この名台詞のスパイ大作戦も
私は昔の方が好きなんだぁ~
今の映画のは めまぐるしくって
ついていけません
昔の方は いろんな過程がまた
楽しかったような気がします
(=^・^=)
Posted by 福寿荘 女将福寿荘 女将 at 2012年01月06日 21:42
福寿荘 女将 さん
 確かに今の映画はなんかコケ脅かしで、深みが無い
 感じがします。
 やっぱり昔の映画の方が情緒が豊だってですね。
Posted by igoten at 2012年01月07日 20:05
気化器のヒーターに付いてるコードはどうやってくっついてるの?
Posted by ヨコヤマカツノリ at 2021年01月27日 21:18
ヨコヤマカツノリ さん

圧着かな。
Posted by igoten at 2021年01月29日 16:23
 
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