大音量の呪縛

igoten

2019年05月22日 18:21

初めてステレオ音楽を聞いた時の驚きは今も忘れない。
まるで自分が宇宙空間にいるような感覚に陥った。
しかし、美味しいものを毎日食べていると飽きてしまうように、
人は、いい音にもすぐに慣れてしまう。

そして更なる高みを目指して、色々な音響装置を買ったり、作ったり、最後は音の為に、
部屋まで作ってしまう。
しかしその喜びは束の間で、人はすぐにそれに慣れてしまい、よりよい音を更に追求することになる。
そして最後にたどり着くのは大音量である。

初めは、一抱えほどの小さなスピーカーで、つつましく音楽を鳴らしていたが、
やがてスピーカーは大きく重くなり、そして最後には大人4人でやっと運べるくらいまで
生長する。
およそ他人にとってこれほど迷惑なものは無いのだが、そんなことはお構いなしに、
ドーンと大音量で音楽を鳴らし、音と音の間の静寂を楽しむのである。

関連記事