アンダーグラウンド

igoten

2015年03月11日 09:44



オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件から既に
20年が経過しようとしている。
そしてこの事件は既に風化して、人々から忘れられようとしている。

アマゾンのこの本の内容紹介によると、
『1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が
起こったのか。
同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム
真理教団による地下鉄サリン事件。
この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、
62人の関係者にインタビューを重ね、
村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。』

となっているが、この本を読んでみても地下鉄サリン事件の
真相がわかるわけではない。
すなわち62人の関係者は殆どが被害者であり、
被害者にインタビューしてみても、事件の真相は
分からないと思うのだ。

この本のタイトルの「アンダーグラウンド」は「地下」
という意味で、「地下鉄」という意味ではない。
たぶんこれは人間の持つ暗い闇の部分を象徴しているのだろう。
本の題名からしても、村上春樹はこの事件の真相を解明しようとして
この本を書いた訳では無いと思われる。

けだし、村上春樹と言う作家はノンフィクションという分野は
もっとも不得意とする分野のように思える。
なぜなら彼の旅行記「遠い太鼓」「雨天炎天」など
を読むと分かるのだが、彼の視点は滞在先の景色や
人々などを直視して書くというのではなく、
少し視点をずらして書くという手法をとるからだ。

しかしこの本の膨大なインタビューを読んでいると、
たぶん村上春樹が書きたかった、地下鉄サリン事件の
持つ深い闇に部分が緩い恐怖とともに湧き上がってくる。


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