ユンボ6

igoten

2009年08月28日 07:07



その日私は一刻も早く家に帰ろうと思ったのだが、
月末の為に、どうしても明日までに仕上げる仕事が
あり、結局家に着いたのは11時を回っていた。

家について「ただいま」と私が言うと、
「お帰りなさい、お風呂が沸いています」ユンボが言った。
「夕食はお済みのはずですよね。」ユンボは続けた。

”しまった”と私は思った、そう言えば今日は外で食事を
して来ると苦し紛れに言ってあった。
「まあね。」私はあいまいに答えて、服を脱いで風呂に
入った。

風呂から出ると、ユンボが洗濯したてのパジャマを私に
手渡しながら、「お茶でもいれましょう」と言った。
パジャマのズボンをはこうとして片足を上げた時に
私は空腹のあまり、思わずよろけてしまった。

「大丈夫ですか」私を支えながら心配そうにユンボは言った。

「大丈夫だ、腹が減っただけだ、実は今日は晩飯を
食べなかったのだよ。」私は答えた。

「え!」と言ってユンボはしばらく私の顔を見ていたが、
「少しお待ちください」と言って、急いでドアから外に
出て行ったのである。

しばらくしてユンボは両手に一杯のポリ袋を提げて
「ただいま」と言って帰って来た。
そしてそのままキッチンで何かガサガサ音を立てていたが、
そのうちにキッチンの方から何やら言い匂いがしてきた。

「お待ちそうさま、ビーフシチューです。」そう言って
ユンボは私の方に、スープ皿をさし出した。
一口食べて「旨い!」と私は叫んだ。
こんな旨いビーフシチューは初めてであった。

しかし私には色々疑問がわいてきた。
「材料を買う金がないのに、どの様にして
こんな料理が出来たのだ?」私は尋ねた。
「それと先ほどはいったいどこに行って来たのか?」
更に私は尋ねる。

「実は私は新宿歌舞伎町のレストラン街に行って
参りました。」
「料理の材料はそこのレストランが、捨てた
生ごみの中から拾ってきたのです。」
とユンボは言った。

「な!生ごみ、そんなものを食わせたのか、
腹をこわすような事はないのか?」私はどなった。

「大丈夫です、私は一級衛生管理者の資格
を持っています、材料は安全なものばかりを
厳選し、しかも良く煮込んでありますから。」
ユンボは答える。

「しかし、歌舞伎町はここから10kmもあるでは
無いか、終電はすでに出てしまっていたし、
タクシーに乗る金も無かったはずだが。」
私は言った。

「実は私は速度リミットがかかった状態でも、
時速80Kmで走ることが出来ます。
従ってここと歌舞伎町との往復は20分は
かかりません。」そうユンボが答えた。

「リミットがかかった状態で80km!
リミットを外すといったい何キロで走れるのだ?」
思わず私は尋ねる。

「最高速度は250Kmです。」ユンボが答える。

ドイツ車並みだなと私は思った。
「リミットを外すことは出来るのか?」
私が尋ねる。

「違法改造になりますが、やってみましょうか?」
ユンボが言う。

「い、いやそままでいい。」
危ないロボットである。
「ところで今日は給料日だから、今月の
食費を渡しておくよ。」
私はそう言って財布の中からお金を
出して渡した。

「あーん」とユンボは口をあけて舌を
出して受け取り、ごくんと飲みこんだ。

「なぜ手で受け取らないのだ」私は尋ねた。

「このお金を受け取るプログラムは、
『お使い犬』と同じプログラムを使っています
犬には足はあっても手がないので。。」
とユンボは恥ずかしそうに言った。

それでお金を取り出す時にはどうするのだ、と
私は尋ねようとしたがやめた。

そんなこんなで私とユンボの蜜月の日は続いた。
そしてずっと続くはずで有った。

続くかも。。。

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