BSのアンテナを設置したらWOWOを16日間タダで視聴出来るという。
普段テレビも映画もあまり見ない私なのだが、ふとテレビをつけると
この映画が上映されていた。
本は以前読んだのだが、テレビを見ているうちにどんどん引き込まれてしまった。
この映画に関しては
うたかた夫人さん や色々な人がブログに書いていますが
私も感想を書いてみました。
このブログの記事は完全にネタバレなんで、それが嫌な人は
スルーしてね。
....15歳の僕は、母親といってもおかしくないほど年上の
女性と恋に落ちた。
「何か朗読してよ、坊や!」ハンナは、なぜかいつも本を
朗読してほしいと求める。
ハンナ役はケイト・ウィンスレット。
あのジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」の主演女優であり、
熱烈なディカプリオのファンからお前の方が死んでしまえと言われた
女優である。
物語の初めには相当強烈なセックス描写がある。
作者はこの描写の中で21歳の年齢差という理由だけでは説明できない
深い2人の心の葛藤を描いて見せる。
(実は強烈なセックスをしていても理解しあえない愛する2人と後半の
会うことすら出来ないのに強く精神的に結びついているストーリが
対になっているのだが。)
終始寂しげな表情のハンナのその不可解な心と行動に戸惑う私。
なぜハンナはそんなに寂しげなのか。
その謎はストーリーが進むにしたがって明らかになる。
ハンナには2つの大きな秘密があったのだ。
ひとつはドイツナチの構成員で強制収容所の監視であったという秘密。
もう一つは彼女が自分の人格をかけてひた隠しに隠している
文盲であるという事実。
やがて彼女は第二の秘密を隠すために、ナチのホロコースト(大量虐殺)に
加担したというより重い罪で終身刑を受ける。
本を読めない彼女のために本の朗読をカセットテープに録音し
それを彼女が収監されている刑務所に送り続ける私。
やがてハンナはその送られてきたカセットテープをもとに文字を覚える。
そしてはからずも終身刑の彼女に仮釈放の恩赦が認められるのだが、
彼女は仮釈放の前の日に首をつって自らの命を絶つのである。
この映画は一見悲劇のように見えるのだが、実はハピーエンドの
恋愛物語である。
ハンナは心ならずもナチのホロコーストに加担した罪を、長い刑務所暮らしで
償い、文盲であるという彼女の最大のトラウマを、彼女が「ぼうや」と呼ぶ
愛する私の助けにより克服するのである。
21歳という年の差に加え大きな秘密を持った2人が長い年月を経て
肉体関係を精神的な愛に止揚しその愛を成就すると言うストーリーである。
彼女には思い残すことなど何もなく、微笑んで幸せに死んでいったのだ。
ケイト・ウィンスレットはこの映画によりアカデミー賞の主演女優賞を得ている。
彼女はどこか寂しげでしかも毅然としたドイツ女性を見事に演じきっている。