馬と村上春樹
私は何かとんでもない勘違いをしていた気がします。
と言うのは、村上春樹の『若い読者のための短編小説案内』
を読んでこの解説書は極めて難解であると書きました。
中でも小島信夫の『馬』と言う小説に関する解説は
もう完全に意味不明であると思っていたのです。
その後、色々と村上春樹の評論を読むにつけ、なぜ
あの解説だけ、なぜあんなに難解であるのだろう
と言う疑問が募りました。
そこで小島信夫の「アメリカンス・クール」と言う
短編集を図書館から借りて、読んでみました。
この中に『馬』と言う小説が収録されています。
さてこの『馬』と言う小説を読んで驚きました。
何はともあれ面白い、しかし読んでいくとなんだか全く
すじがわからなくなる、ただし筋はわからなくても
大笑いするくらい面白い。
何かこう頭がおかしくなりそうなのだが、とにかく面白い。
作者の小島信夫がわざと読者を惑わしているのだが、
そこがまたおかしい。
何度読んでも筋が途中で分からなくなる。
ただし読めば読むほど面白いのである。
そこで私は今度は村上春樹の『若い読者のための短編小説案内』
の『馬』の部分を読んだのです。
そして驚いた、この訳の分からない『馬』と言う小説を
見事に解説してあるではないか。
彼も何回読み直してもよくわからないとしながら、作者小島
信夫がなぜこんな小説を書いたのか見事に説明して
いるのです。
そしてさらに驚いたことにこの村上春樹の書評を読んだ後、
再びこの『馬』を読むと、いっそうこの『馬』が面白く読めるのです。
更に更に、この『馬』と言う小説は、もともと面白可笑しい
小説であり、もしこれをシリアスに解説したらそんなものは
面白くも何ともないわけですが、村上春樹はこれを
ユーモアたっぷりに解説しているのです。
ですから、この『馬』と言う小説と、村上春樹の解説は
騎手の武豊とディープインパクトのように相性がピッタリと
いうことなのです。
私が村上春樹の書評が難解であると思ったわけは簡単で
解説のもとの本を私が読んでないだけだったのです。
そりゃあ駄目ですよね。
『若い読者のための短編小説案内』の中にはまだ
沢山の解説があっていずれも私は元の本を読んでいません。
私にとって楽しみがたくさん出来たということです。
2009年08月01日 Posted byigoten at 07:28 │Comments(1) │読書
この記事へのコメント
小説読むのは向いてない人みたいですね。
あれ読めば小島信夫はすごいことは誰にもわかると思いますが。
元がやばいんであって村上春樹自体の解説は並みです。可もなく不可もないできです。
あれ読めば小島信夫はすごいことは誰にもわかると思いますが。
元がやばいんであって村上春樹自体の解説は並みです。可もなく不可もないできです。
Posted by 村上春樹の解説は at 2013年07月02日 19:05