プール百景

プールという場所は人間観察にはうってつけの場所である。
ちょっと込み合っているプールサイドでサマーベットに
横になって、人を観察してたらさぞ楽しかろうと思うのだが、
実際やったことはない。
先日いつも行くプールに行くと受付けで子供がごねていた。
「やりたくないよう、普通に遊んでいたいよー」と言っている。
お母さんはそんな子供の声が聞こえないような顔をして
受付で名前を書いている。
その子供は母親と離れて、男性用の着替え室に入っても、
「やりたくないようー」とブツブツ言っている。
年齢は小学2年生くらいであろうか、ちょっと肥満気味で、
母親の居ないところで「やりたくないよー」などと言って
いるところをみると、若干頭のほうに問題があるのかな
と思っていた。
その日は水に子供を慣らす教室が開かれていて、その子は
その教室に入れられたのだ。
私は興味があったのでプールに入っても、その子をちらちら
見ていた。
その教室の参加者は6名くらい、小学1年生位の子供が多かった。
「やだやだ」の子はほかの子より首一つ大きく、少し恥ずかしそうな
顔をしていたが、それでもインストラクターの言う通りに水に顔を
つけたりしていた。
やがて教室も佳境に入り、プールの底に沈めた大きな踏み台の
上に、プールの縁から立って飛び込む練習になった。
小さな子供たちが次々に楽しそうに飛び込み、インストラクターが
手を叩いて盛り上げる。
しかしその子の番になった時、その子は少しためらうように
立ち止まって斜め後ろを指差した。
その指差す場所を見て私は思わず笑った。
そこには
「飛び込み禁止」
の張り紙があった。