VW high up! 試乗レポート(9)
ドイツ車は暖房の効きが悪いと言われる。
確かに私が乗った2つのドイツ車は暖房の効きが悪かった。
それに足元に出る暖かい空気の場所も適当ではない気がする。
寒い信州ではこれはかなり辛い。
そもそもドイツ人は冬には厚手のコートにマフラーを巻き、
手袋をして車に乗り込む。
日本人は運転が楽なように車に乗る時はコートを脱いで
乗り込んでいた。
習慣が違うのだ。
このUp!も暖房の効きは良いとは言えない。
しかも何か温かい空気は足に当たらず空振りしている気もする。
しかしこのUp!には強い味方が付いていた、シートヒーターと
いうやつで、このスイッチを入れると1分位でシートがポカポカと
暖かくなる。
シートヒーターは助手席にも付いていて、強さは2段階に調節出来る。
私には初めての経験で有ったが、シートヒーターは何か癖になる
暖かさである。
2016年03月23日 Posted by igoten at 16:52 │Comments(4) │その他
VW high up! 試乗レポート(8)
up!の安全性能に関して書いておく。
1、シティエマージェンシーブレーキ
この車はhigh up!と言ってup!の中では上級車種なのだが、
up!全車種に「シティエマージェンシーブレーキ」なるものが
標準で装備されている。
これはフロントガラス上部に設置された赤外線センサーに
より、前方の障害物を検知し自動でブレーキをかけるもので、
時速30km/h未満の速度で作動する。
30km/h未満と言うのがちょっと気になる所では有るが、追突
事故は渋滞の前後で特に起こりやすいと言うのでこれを避ける
為にはかなり効果が有ると思われる。
2、ESP
これはかなり複雑なシステムで、車が横滑りを起こした時に、
ブレーキやエンジン出力を制御して、車の制御を立て直す。
なんと驚くなかれ、このESPを装備した車は単独衝突事故が
40%近く減少するという。
日本車への投入はヨーロパ車よりかなり遅れていたが、
現在はESPが搭載された車が増えている。
3、サイドエアーバッグ
運転席と助手席にサイドエアーバッグが表銃装備されている。
その昔デュッセルドルフ空港からの帰りのアウトバーンで、
夜で細かい雪が降る中、追い越し車が怖くて、思わず右に
寄りすぎて塩カルの撒いてない部分を踏んだ時、車が横滑り
しだした。
車は制御不能で、どんどん左に流れて追い越し車線に入り、
中央分離帯に近付いた。
「ああ!これはもう終わりだ」と思った時に何とかハンドル操作が
出来る様になった。
滑り始めてから操舵可能となるまでの時間が永遠に思えた。
ESPの装備はドイツから始まったが、その理由はわかる気がする。
2016年03月16日 Posted by igoten at 09:07 │Comments(8) │その他
VW high up! 試乗レポート(7)
up!に関してエンジンの振動と音の大小は、意見が分かれる。
つまりどの車を比較対象にするかで評価は大きく異なるのである。
また振動や音の種類でも好き嫌いは分かれる。
私が感じた範囲だと3気筒のエンジンにしては振動は少ないし、
音も不快なものでは無い。
さぞかし静かなエンジンが積まれているのだろうと、ボンネットを
開けて、エンジンカバーに触って驚いた。
かなり激しく振動している。
振動の波を吸収する技術でエンジンの振動を運転席に伝えない設計が
されているのだ。
最近は耐震装置などに使用される、振動のエネルギーを吸収するゴムなどが有り、
これを使うとエンジンの振動をボディーに伝えにくく出来る。
この辺の設計がきちんとされているのだろう。
この車と軽自動車と根本的に違うところは、100km位までスピードを上げても、
エンジン音や振動が増えない点にある。
むしろ80km~100km位の所で一番心地良い振動になるような思える。
この辺がドイツ車なのだ。
ドイツのアウトバーンは制限速度が無いところもあるが、そんなところでも
殆どの人は80km~100kmで走行している。
従ってこのスピードの付近で最も安定して走ることが出来る様にドイツ車は
設計される。
up!スピードメーターのメモリは200kmまであるが、まさか200kmで運転する人は
いないだろう。
2016年03月15日 Posted by igoten at 13:38 │Comments(2)
VW high up! 試乗レポート(6)

最近は機械の注文を受けるときに、「小さくしてくれ」と言う
要望が特に多い。
もちろん「性能は落とさずに」である。
更に、「小さくなるんだから安くなるんでしょうね」と言われる。
ここまで来るとさすがに温和な日本の技術者もブチ切れる。
でも、ドイツの技術者は切れない。
もともとドイツの技術者は客の注文なんか聞かない。
自分の教わった通りに設計するだけである。
しかしこの「up!」に関してはさすがのドイツの技術者も
切れたのではないかと疑う。
よくぞここまでコンパクトに車を仕上げたものだと思うからだ。
「トレードオフ」と言う言葉が有る。
Wikipediaによると「一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを
得ないという状態・関係のことである」となっている。
つまり、小さくする、燃費を良くする、コストを下げるという3つの
指令に対して、通常ならこのクラスの車が持っている何かを
思い切って切り捨てることである。
トレードオフによりこの車の仕様から外されたものをざっとあげてみる。
1、リアウィンドウの開閉上下機構。
2、デュアルクラッチDSG
3、電動可倒式ミラー
4、カーナビのスペース
1、リアウィンドウの上下開閉機構が無いことには驚かされる。
リアウインドウが全く開かないわけではなく、ガラスの前の方に
ヒンジが付いていて、後ろが10cm程開く。
これはコストダウンの為だけではない。
もともとコンパクトカーにとってリアウインドウの上下開閉機構は
頭痛の種なのだ。
大きなウインドウにして下げようとすると、タイヤハウスにぶつかってしまう。
仕方なくピラーで2つに区切り、前だけ開くようにするのだが、
デザイン的にも良くない。
そこで思い切って上下開閉機構は止めてしまったのだ。
これぞトレードオフの真骨頂。
昔乗っていたVWの車は4つのパワーウインドウが全て脱落した。
原因はウインドウを上下しているプラッスチックのギアの歯が飛んで
しまうもので、歯が一つくらい飛んでもギイギイ言って動いているのだが、
そのうちにどんどん歯が少なくなって、そのまま使い続けると、
モーターが焼き付く。
完全にギアの耐久性の問題なのだが、ドイツは日本と違って夏でも
カンカン照りで車のボディーが熱くて触れなくなることは無い。
プラスチックの熱による劣化ではないかと私は疑っていた。
「パワーウインドウが2つしかないということは、故障の確立も
半分になりますね。」と私はディーラーの人に言ったが、大した
事でもない事はアグレッシブに考えることだ。
2、DSGであるが、この車の一つ上位機種のPoloには「デュアルクラッチDSG」
と言うのが付いていて、この方がクラッチの接続時のショックが
少ないのである。
しかし「デュアルクラッチDSG」は重くて複雑で、高価である。
up!に「デュアルクラッチDSG」を付けると、面白味のない車に
なってしまう。
良くも悪くもこの「シングルクラッチDSG」がup!の売り物であり、
これだけとってみても、私はPoloなんてほしくないのだ。
3、トヨタアクアはエンジンを切ると自動的にミラーをたたむ。
何で?と私は思ってしまう。
ミラーが当たるか当たらないかを車が通れるか通れないかの目安に
したいと私は思うのだが。(ちょっと乱暴ですが)
up!は手で倒すのだが、結構重い。
すなわち倒れないと大差が無いのである。
前に乗っていたVWの車は、運転席側のミラーを電柱にぶつけた。
そしてミラーのカバーにヒビが入っただけではなく、ミラー全体を
構成している、アルミダイカストのフレームがバラバラになった。
修理しようとしたら、全とっかえで10万円と言われた。
そのままでは車検が通らないので、プラスチックの部分は裏から
ステンレスの板を張り付け、バラバラになったダイカストを拾い集めて
エポキシ接着剤で固めて修理した。
up!はミラーの中に全く電装が無いから、たとえぶつけて壊れても、
修理代金はそんなに膨れない。
物事はアグレッシブに。
4、up!はコンパクトの為にカーナビのスペースを作らなかった。
正確に言うと、カーナビはダッシュボードのエアコンの吹き出し
口の前に、取付版を接着して取り付ける。
日本向けとはいえ、VWの標準カーナビは止めた方が良いと私は思うのだが。
どのように付けるかはアイデアが有るので、後で書くかも知れない。
と言うことで、up!の4つのトレードオフを書いたが、要するに
どーってことない装備と機能を削って有るのだ。
負け惜しみかも知れないが。
続く...
2016年03月14日 Posted by igoten at 09:20 │Comments(2)
人工知能 怖いですね

土曜の午後、犬の散歩も忘れてYutubeの画面に
見入っていた。
韓国人で囲碁の世界王者になったこともあるイ・セドルが、
GoogleのDeepMindと言う人工知能で作られた、囲碁ソフト
との対戦実況中継が行われていた。
この勝負は5番勝負で、賞金は役1億円と言うことで、
前評判は、圧倒的に人間有利であった。
ところが一戦二戦とコンピュータが連勝して、その
3戦目が行われていたのである。
結果はコンピュータの勝利で、3連勝であった。
怖いですね人工知能、どんどん人間に追い付いてくる。
ゲームなんかをしているうちは良いのだが、今に必ず
戦争に使われる。
そうなると、善悪の判断をすることになる。
善悪と言うのは自然科学ではないわけで、その判断基準は
極めてあいまいである。
Googleは検索エンジンであるから、世界中の文献を集めて
善悪を判断することになり、文字文化が圧倒的に多い、
キリスト教の価値観が優勢になる可能性がある。
ホーキンス博士なんかは人工知能の開発に反対している。
しかしもはや止めようがない、どうなることやら。
2016年03月13日 Posted by igoten at 16:43 │Comments(2) │その他
VW high up! 試乗レポート(5)
最初に乗ったドイツ車はサンタナであった。
まだドイツが東西に分かれ、北欧のフィヨルドにソ連の潜水艦が
浮上して大騒ぎとなり、羽田では片桐機長が滑走路ではなく、海の
上にジャンボを着陸させていた。
デュッセルドルフ郊外のVWのディーラーからシュルッセル(キー)
を受け取って乗り込んだサンタナの第一印象は、「シートの固い車だな」
であった。
特にどうと言うことのない車のように見えたが、ディーラーの
帰りにアウトバーンに乗った時、まるで道路に張り付いたように
走るこの車に舌を巻いた。
それまではヨーロピアンフォードのタウナスと言う車に乗っていたのだが。
当時私の仕事は出張が多くて、月曜日の午後に飛行機に乗って出かけ、
金曜日の午後に帰って来るパターンが多かった。
月曜日にデュッセルドルフ空港に車を置いていくのである。
色んな国を回り、金曜日にぼろきれのように疲れて、空港から出てくると、
薄暗い空港の駐車場にぽつんと寂しそうにサンタナが待っていた。
車と言うのは何か金物で出来たペットのような物のような気がする。
車に乗り込んでエンジンをかけると、何かほっとして自分の
国に帰ってきたんだな、という気がした。
閑話休題
up!に乗り込むとやはり少し硬めで、ホールド感の良いシートが
待っている。
ドイツ人の体形と日本人の私の体形では相当な違いが有ると思うのだが、
しっかり体を支えるシート設計と言うのは、椅子の文化が根ざした国だから
出来るのだろうか。
シートの素材もメッシュのような感じで、何か少し硬い繊維で出来ている。
手で触った感じはあまり良くないのだが、座り心地は素晴らしい。
ドイツの車だなと言う感じである。
イグニッションキーの溝はハンドルに隠れて、前に覗き込まないと、
運転の姿勢では全く見えない。
キーは持ち手とキーそのものが十字になっている感じなので、
直感的にどの角度で差し込めばいいのか判断しにくい。
キー溝にキーを差し込み、一回持ち替えてキーを回すことになる。
キーを指す角度を90°変えれば、持ち替えなくても良いような
気がするのだが、慣れの問題か。
エンジンを始動するにはブレーキペダルを踏む必要があるが、
この時はまだ、ブレーキのパワーアシストが効いていないので、
硬いブレーキをガンと踏むことになる。
昔の車はアクセルを踏みながらエンジンをかけたが、今の車は
アクセルを踏まない。
時々迷ってしまうことが有るのだが、ブレーキを踏んでエンジンを
始動する場合は全く迷いが無い。
エンジンのかかりは日本車より良くない気がするが、エンジン音が
比較的低いのでそう感じるだけかもしれない。
続く...
2016年03月11日 Posted by igoten at 08:13 │Comments(2) │その他
VW high up! 試乗レポート(4)
「車で一番大切なのは、剛性である。」
と書くといったいそれは何だと叱られるかもしれない。
車からエンジンやトランスミッション、ラジエターと言った
物を全て取り除くと、あとはシャーシが残る。
人間でいうと背骨のようなものである。
通常シャーシは様々な鉄板を溶接したり、ねじ止めしたりして
造られる。
この上にエンジンが置かれサスペンションが取り付けられ、
他のすべての物が付けられる。
シャーシが弱いと走行が不安定になる。
さすがに今の時代走行が不安定になるほど弱いシャーシを
持った車と言うのは無いと思うのだが、車によってシャーシ
の強度が異なるのも事実である。
そしてこのシャーシの強さ、剛性の高さに関してはドイツ車は
抜きんでている。
この日本の軽自動車とほぼ同じサイズのup!で有るが、その
剛性の高さは見た目からは想像できない。
剛性を高くするには、材料を選択することが必要で、
単なる鋼板だけではなく超高張力鋼板なんかを強度計算を
しながら使うことが必要である。
それと意外と重要なのは溶接で、スポット溶接よりも、
ある程度長い距離を溶接する、レーザー溶接の方が
強い強度が出ると言われている。
車なんかの設計者は、自分の会社の車を見て設計の基本を
覚えるのだろうから、その会社の基本基調は受け継がれる。
ドイツは何でもかんでも頑丈に作る。
日本は問題が有ればそれを最新技術でカバーしようとする。
どちらが良いかは一概には言えないのだが、車はドイツ
デジカメやプリンターなんかは日本製が良いのではないかと
私は考えている。
up!の走りの評判が良いのは、先ずはこのシャーシの剛性の
高さから来ていると思われる。
要するに、物理的にこの車は丈夫なのである。
つづく...
2016年03月10日 Posted by igoten at 07:30 │Comments(4) │その他
VW high up! 試乗レポート(3)

VWの代理店でup!を購入しようとする人は、必ず試乗をしなければならない
という通達がVW輸入総代理店から出ているという、本当だろうか?
つまり、買った後でクレームする人が後を絶をたなかったともいえる。
その原因の殆どが、この車に採用されているASGトランスミッションに
よるものだと思われる。
ASGとはドイツ語で「Automatisiertes Schtalgetriebe」
の頭文字を
とったものだ。
「Automatisiertes」は「自動化」と言う意味で英語と似ているので見当は
付くだろう。
「Schtalgetriebe」の「Schtal」は英語の「stihl」(スチール)で金属のこと、
「getriebe」はギヤのことである。
つまりASGとは自動化されたマニュアルギアである。
普通のマニュアルギアは、ギアチェンジに際しクラッチペダルを踏んで
クラッチを切り、ギアをシフトして再びクラッチを繋げる。
ASGはそれを自動にしたもので、ロボタイズドATとも呼ばれる。
すなわち日本で一般的に使われているトルクコンバーターのAT車や
CVTのAT車とは根本的に異なるのである。
up!はASGを使用しているがDモードとMモードの切り替えが有る。
DモードはAT車、Mモードはマニュアル車となる。
すなわち一台の車でMTとATが楽しめるというもので、ヨーロパでは特に
珍しくは無いという。
前置きはこのくらいにして実際に運転してみる。
先ずはDモードから試してみるのだ。
Dモードはシフトレバーを左側に倒すのだが、単にDモードに
入れただけでは車は走りださない。
アクセルを踏み込んで初めて車が動くのである。
すなわちアクセルが踏み込まれない時はクラッチは繋がって
いないのである。
これはASG車に乗ったことのない私にとっては初めての経験で、
少々面食らう。
MT車はエンジンがかかっている時、アクセルを踏まずに
クラッチを繋ぐと、静かに動き出すかエンストするかどちらかである。
AT車にはクリープ現象と言うのが有って、ギアをドライブに入れると
車は少しづつ前進する。
けれどASG車はウンともスンとも言わないのである。
Dモードでアクセルを踏むと、車はスーと動きだし、更に加速
しようとアクセルを踏むと、突然がくんと前につんのめる感じになる。
車が自動でギアを1から2にシフトしようとしてクラッチを切ったのだ。
しかしクラッチを切る連絡が運転手に無い為、運転手がアクセルを
踏み続けた結果、エンジンの負荷が急に抜けて、回転数が
上がり、ギアが繋がりにくくなって車の加速度が急速に落ち、
その結果運転手は前につんのめる羽目になった。
普通のMT車はクラッチを切る時にはアクセルを緩めるので、
このようなことはあまり起きないのである。
この現象は2から3、3から4、4から5のシフトの場合も
生じるが、ギヤ比が低くなるにしたがって加速度が落ちる
トルク抜けの程度は少なくなる。
さてこのガックン・ガックンはつらいのでこれを避ける手立てを
考える。
他の試乗記なんかを読むと、マニュアル車に載っている感覚で
アクセルを緩めろと書いてある。
しかし、マニュアル車は自分でクラッチを切るのでアクセルを
緩めるタイミングが分かるのだが、車が勝手に判断してクラッチ
を切る場合はそのタイミングを見極めるのは意外と難しいのだ。
平坦な道で発進し、シフトチェンジを予測するのは比較的簡単で、
速度を見ていると、殆ど同じタイミングでシフトチェンジが
起こるので、自分で学習し予測してアクセルを緩めることが出来る。
しかし坂道で発進したり、加速中坂道にかかたりすると、
何時シフトが変わるか見当がつかない。
まあそのようなときはMモードで走ることにすればいいのだ。
マニュアルモードにするのは簡単で、シフトレバーをもう一度左に倒すと
DモードからMモード
に切り替わる。
要するに、レバーは左に倒すとDモードとMモードが
交互に切り替わるオルタネートスイッチになっている。
ちなみにギアをアップシフトするときはレバーを前に押し、
ダウンシフトするときはレバーを下に引く。
Mモードと言っても、ギア比を下げるすなわち1速から2速にチェンジ
という場合は手動であるが、逆に2速から1速にと言った場合は自動的に切り替わる。
従って、Mモードでギア比を変えないままブレーキを踏んでエンストする
ようなことは無い。
この辺は完全マニュアル車とは違うところである。
更に、1から2はMモードでそれから先はDモードに切り替えると言うように
好きな時にMからDに又DからMに切り替えることが出来る。
Mモードの時のギアチェンジのタイミングは、メーターパネル
の中に赤い矢印が点灯し、矢印が上向きの場合はシフトアップ
下向きの時はシフトダウンが推奨となる。
始めのうちはこの矢印でギヤチェンジのタイミングを覚えることになる。
勿論Mモードで走っていて、ギアをシフトダウンしてエンジンブレーキを
かけることが出来る、これは通常のMT車と同じである。
山道でAT車を運転していて、エンジンブレーキがほしいなと思うことが
あるが、そのようなときはMモードで走ればよい。
ギヤシフトに関しては、まあなんだかんだと色々試すと結構楽しい、
時々ガックンも又刺激が有るというもので、初めはなかなか言うことを
聞かない機械がだんだん手に馴染んでくる楽しさを味わえる。
ここで2つほど気が付いたことを。
この車は勿論右ハンドルである。
シフトレバーは左側に有り、レバーを左に倒すと、ニュートラル
でその位置で下に引くとバックギアとなる。
ドライブの時は、レバーを左に倒すのだが、Mモードの
ギアチェンジはその位置でレバーを上下に押すことになる。
ニュートラルとドライブのレバーの位置は5cm位ある。
左ハンドルの人はレバーを左手で操作するのだが、ドライブの
時のレバーの位置は、ニュートラルの時より5cm程体に近くなる。
しかし右ハンドルの場合はこの逆で、ドライブの時レバーが
5cmほど体から離れる。
それとあいまって、基本的に欧米人は日本人に比較すると手が長い。
ドイツでワイシャツや、スーツを買うと体系的にはピッタリなのに、
5cm程袖が長くてまいってしまう。
基本的にこの車はドイツ人の設計であるから、ドイツ人の手の長さに
合わせてある。
日本人の私には、この車もシフトレバーがちょっ遠くてつらい気がする。
シフトレバーにはスイッチは何も付いていないので、何かアダプターの
ようなものを付ければいいのかなと思うのだが。
もう一つ、この車にはアイドリングストップ機能が付いているが、
アクセルを踏みエンジンがかかるまで、少しタイムラグが有る。
傾斜がゆるい坂道で、発進しようとしてアクセルを踏んだ時、
ずるりと車が後ろに下がり、ヒア汗をかくことが有る。
アイドリングストップとASG車はとても相性が悪い気がするが、
気のせいかな。
まあ始めのうちはアイドリングストップはストップしておいた方が
良さそうである。
エンジンをかける度にアイドリングストップのストップスイッチを
押さなければならないのだが。
アイドリングストップと言えば、昔ドイツに居た時、信号待ちで、
信号が青になった時やたらとエンジンをかける音がした。
まだアイドリングストップと言うのが無い時代である。
エンストしたのかと思ったが、これがガソリンを節約の為と知った。
ドイツ人はケチなのである。
勿論寒い朝、暖気運転なんかしているのは近所で私一人だったように
記憶している。
そこで、アイドリングストップはケチなドイツ人の発案かと思って調べてみると、
なんとトヨタが最初だった。
しかし、セルモーターやバッテリーの負担を考えると、本当に節約に
なっているのかなと思ったが、完璧にアイドリングストップを行うと、
燃費が14%向上するという記事を読んで驚いた。
さて悪評高い? up!のASGだが、慣れてくると大きくガクンと
なることは無いし、何よりもMTを楽しめるのは大きな
アドバンテージではないかと私は思うのだ。
「運転することでもう目いっぱいなんですよ」と言う人や、
車に楽しさなんて求めていないという人は、トヨタのアクア
なんかが、おすすめのような気がする。
2016年03月09日 Posted by igoten at 09:21 │Comments(3) │その他
VW high up! 試乗レポート(2)
さて早速試乗してみることに。
このクラスの車としては重いドアを開ける。
車のドアは普通開閉途中で止まるようにストップカムと呼ばれるものが
付いている、この車もドアの開閉は途中3か所で止まるのだが、ドアを徐々に
開けて行って、カム溝に近付くとその穴に引き込まれる。
ドイツ車はこの辺のところが頑丈に出来ていて、そろりとドアを開けて行っても
カム溝付近でガーンと引き込まれる。
狭い場所で、一寸ドアを開けて降りようとしても、ドアがバーンと開いて、
ドアの角を他の車やガレージの壁にぶつけることが有るので注意が必要である。
逆にこの力が弱いと、強風なんかでドアが押し戻されて手を挟む危険が有るのだ。
ドアの根元を見ると、国産車なら間違いなくドアを支えるヒンジは板金であるが、
up!の場合は、鋳物を切った物が付いていて、このドアなら大人3人はぶら
下がれそうである。
これだけ丈夫に作ってあれば、長い間乗ってもドアにガタが来ないだろう。
さすが剛性が売り物のドイツ車、好感度は上がる。
先ずはエンジンスタートだ。
この車にはキーレスエントリーは付いていない。
つまりエンジンを始動するためには必ずキーを差し込んで
回さなければならない。

始めにキーを受け取った時に、ちょっと見た感じでキーが
見えなかったので、この車はキーレスエントリーなのかな
と思ったのだがそうではなく、キーが折り畳み式になっていたのだ。
写真左側の丸いボタンを押すと、ジャックナイフのようにキーが
飛び出す。
たたむときはボタンを押しながら折りたたむのだが、カチツと
良い音がする。
不良少年が手持ち無沙汰な時に、ジャックナイフを開いたり閉じたりして
カチャカチャ遊ぶように、不良中年は車のキーをカチャカチャさせて
遊ぶのだ。(笑
そしてこのキー、結構重い。
これぞDeutschland Produkt(ドイツ製品)である。
キーをハンドルの右のキー溝に差し込んで回し、
いよいよエンジンスタートだ。
このキーを回すのにかなりの力が必要である。
キーが壊れるのではないかと思われるほど力を入れて回さないと
エンジンがスタートしない。
基本的に、日本車は日本人の体形に合わせて、
ドイツ車はドイツ人の体形に合わせて設計される。
ドイツ人は女性でも結構力が有る。
従ってドイツ車は日本車に比べて、すべてに力が必要なのだ。
これを、「オー、ソリッド」と思う人と、「重いなあ」と思う
人に評価が分かれる。
勿論ドイツ人にすれば普通のことであるのだが。
エンジンスタートをするときちょっとした落とし穴が有る。
ブレーキを踏んでキーを回さないとエンジンがスタートしないのだ。
ブレーキを踏まないでキーを回し、「あそうか」と思い慌てて
ブレーキを踏んでもエンジンはウンともスンとも言わない。
一旦キーをもとに戻しブレーキを踏んで、再度挑戦と言う段取りになる。
ブレーキを踏まなくても車はギヤがニュートラルに入っていることを
知っているにだから、エンジンが始動しても安全性に問題は無いと
思うのだが。
フォルクス・シューレ(国民学校)の先生のように、ドイツ製品は
頑固なのだ。
この辺はフェールセーフ、二重安全の設計となっているのであろう。
この車のエンジンは1Lで、バランスシャフト無の直列3気筒である。
日本の場合は3気筒は軽自動車に多くの普通車は少ない。
4気筒エンジンはクランクシャフトが1回転する間に4回の爆発が起こり、
3気筒エンジンは3回の爆発が起こる。
回転角でいうと4気筒エンジンは90°に一回、3気筒エンジンは120°
毎に爆発が起こることになる。
その結果同じ出力を取り出そうとすると、3気筒エンジンは4気筒エンジンと
比較して、トルクムラと騒音が大きくなる傾向にある。
この辺に関してup!はいかがであろうか。
先ずエンジンの振動であるが、3気筒のエンジンにしては振動が
少なく感ずる。
エンジン音も思ったより低い音で、気になるほどの音ではない。
ただしトヨタアクアなんかに乗っている人は、この車壊れているんじゃ
無いかと思われるほどうるさく感じ、ビッツに乗っている人は
同じくらいだと思う。
まあ車好きの人はたいていエンジン音が好きで、エンジン音がしない
車に乗るとなんか落ち着かない、私も自分で運転するならちょっとエンジン音の
大きな車が、人の運転で載せてもらうならエンジン音の静かな車が
良いと思うのだが。
続く...
2016年03月08日 Posted by igoten at 08:54 │Comments(3) │読書│その他
VW high up! 試乗レポート(1)

この車の正式名称は「high up!」と言う。
名前に「!」(エクスクラメーション)が付いている。
名前からして、かなり変わった車である。
この車は今話題の(何で話題なのかはあえて書かないが)
ドイツ フォルクスワーゲン社製のヨーロッパではAセグメントと
呼ばれる部類の車で、車の中で一番小型に属するタイプである。
いろんな人が試乗レポートを書いているが、それを読んでいて
思わず笑ってしまう。
輸入車と言うのは大抵の場合評価が大きく分かれる。
特にイタリア車はその傾向が大きいと言える。
村上春樹が「遠い太鼓」の中でイタリア製のランチデルタと言う
車を買って、アルプス越えで苦労するところを読んで思わず
笑ってしまった。
ドイツ車の場合はイタリア車やフランス車と比べて評価が分かれる
事は少ないのだが、どうしたわけかこの「up!」に関しては
評価が分かれる。
車に対して何の関心も持たなくなっていったい何年経つのだろうか?
何十年も前に、フランスに行った時、代理店の若い技術者パスカル
が、ルノー・サンクと言う車に乗っていた。
コラムシフトなんだけど、レバーが折り畳み傘の柄のような形で、
それを引っ張ったり押したりしてギヤ・チェンジをしているのを見て、
「ああこの車を運転してみたいな」と思ったのだが、その願いは
かなわなかった。
「up!」しかしもしかしたらこの車は、忘れ去っていた車に対する
古い情熱のようなものを掻き立ててくれるのではと思って試乗した。