スケッチブック
久々の更新である。
最近は何か少し無気力になっている気がする。
たぶん、寒さと、正月が嫌いな私の性格によるものであろう。
読書にしても、村上春樹の本はもう殆ど読んでしまったし、新しい作家の本は
何か少し面倒で、読む気がしない。
そこで引っ張り出したのが、ワシントン・アーヴィング の「スケッチブック」。
私が学生時代に買った本なのでかなり古い。
ティム・バートンがこの本の中の短編『スリーピー・ホロウの伝説』を元に
美しくもおどろおどろしき世界を映画にして1999年にアカデミー美術賞を
獲得している。
あの映画は良かったですよね。
この本の中に「妻」と言う短編が有る、原題は「The Wife」である。
金持ちの友人が投機に失敗し、破産してしまう。
かれは最愛の妻が、破産を機に自分から離れて行ってしまうのではないかと、
心配で破産したことを打ち明けられず、友人つまり私に相談するところから始まる。
原題の「The Wife」の「The」は友人の妻であることを指す。
相談された私は彼に破産の事実を妻に打ち明けるようにアドバイスする。
友人はアドバイスに従って、妻に事実を告げるのである。
妻は夫が最近いかにも陽気にふるまっているが、何か心配事を心に
持っていることを知っていて密かに心配しているのである。
友人が破産の事実を打ち明けると、
「なんだそんなことだったんですか、安心しました」
と言うのである。
やはり、持つべきものは「賢妻」である。
友人は普段と変わらぬ妻の楽しそうな様子を見て、妻が破産と言う
事の本当の辛さを知らないのではないかと密かに疑うのである。
やがて友人は今まで住んでいた豪邸を去り、郊外の今までとは
比べ物にならない程、みすぼらしい住居に移るのである。
さてこの結末はどうなるのであろうか。
ここまで読んで、ふと私の中のフロイドが頭をもたげる。
この作者つまり裕福だった友人を持つ私は、勿論金持ちであろう。
その私が友人が破産してみすぼらしい家に越さなくてはならないことを
相談され、全く経済的な援助をした形跡がないのは、いったい
いかなることだろうかと疑うのである。
もしかしたら作者は独身で、又は悪妻を持つ身で、本当は友人の
幸せな結婚生活をねたんでいたのではないのだろうか。
つまり、本人の意識の下で、密かに友人が結婚生活に破たんを
きたすことを期待していたのではないかと。
さて物語の結末である。
その粗末な友人の家に招待された私が見た物は、粗末な家に
続く細い道に美しく植えられた花や、夫の好物の料理を作って
夫の帰りを待ちわびる妻の姿であった。
クリスマスにはとてもふさわしい心温まる物語である。
フロイドが居なければ。