逆軍の旗




本能寺の変の前日から始まる、明智光秀の
心中を書いた短編小説である。
この表紙絵は面白い、左側下の猫は一体なんだ。

光秀の軍旗は「水色桔梗」である。
涼しげな水色の旗地に白く桔梗が浮かび上がる。
およそ逆軍とは思えない優雅さである。

光秀軍に囲まれた本能寺の縁側から、無数の水色
桔梗の軍旗がはためくのを見た織田信長が、
「見よ、あの美しき旗を」と言ったとか言わなかった
とか、何かの本で読んだが、そんな余裕はいくら信長
でも無かったはずだ。

まさか光秀が謀反を起こすとは、という信長の油断と、
まさか秀吉が10日で、備中から戻るとは、という
光秀の油断が、歴史を大き揺さぶることになる。

さてこの短編の最後であるが、摂津で光秀は援軍に頼む、
筒井順慶を待っている。
そして、
「不意に悲傷が光秀を掴んだ。
順慶は来ないだろう。
樹の間から、麓に敷いた陣が押したてている夥しい明智軍
の旗幟が見えた。
風がないために、旗幟はことごとくうなだれ、光秀の目に
葬列の旗でもあるかのように、異様に映った。」

ここを読み終えて私ははてなと思った。
右の図のように軍旗=旗幟は上に棒が入っていて、風が無くても
うなだれないのではないかと。

まあ細かいことはいいか。

光秀の10日余りの心境を書いたこの短編は、
読んでいてちょっと気が滅入るが、面白い。

  

2015年02月09日 Posted by igoten at 19:25Comments(2)読書