逆軍の旗




本能寺の変の前日から始まる、明智光秀の
心中を書いた短編小説である。
この表紙絵は面白い、左側下の猫は一体なんだ。

光秀の軍旗は「水色桔梗」である。
涼しげな水色の旗地に白く桔梗が浮かび上がる。
およそ逆軍とは思えない優雅さである。

光秀軍に囲まれた本能寺の縁側から、無数の水色
桔梗の軍旗がはためくのを見た織田信長が、
「見よ、あの美しき旗を」と言ったとか言わなかった
とか、何かの本で読んだが、そんな余裕はいくら信長
でも無かったはずだ。

まさか光秀が謀反を起こすとは、という信長の油断と、
まさか秀吉が10日で、備中から戻るとは、という
光秀の油断が、歴史を大き揺さぶることになる。

さてこの短編の最後であるが、摂津で光秀は援軍に頼む、
筒井順慶を待っている。
そして、
「不意に悲傷が光秀を掴んだ。
順慶は来ないだろう。
樹の間から、麓に敷いた陣が押したてている夥しい明智軍
の旗幟が見えた。
風がないために、旗幟はことごとくうなだれ、光秀の目に
葬列の旗でもあるかのように、異様に映った。」

ここを読み終えて私ははてなと思った。
右の図のように軍旗=旗幟は上に棒が入っていて、風が無くても
うなだれないのではないかと。

まあ細かいことはいいか。

光秀の10日余りの心境を書いたこの短編は、
読んでいてちょっと気が滅入るが、面白い。

  

2015年02月09日 Posted by igoten at 19:25Comments(2)読書

飲みそこなったコーヒー

昨日は朝早く出張に。
前日から関東甲信越は大雪だとの予報。
会社で「明日は帰れなくなりますよ」と皆から脅かされる。
私の憂鬱な顔をみてみんな楽しんでいるのに相違ない。
ここぞとばかり、日ごろの仇をしっかり取っているのだ。

朝起きてみると雪は降っていないし、この時期としては
そしてそれほど寒くもない。
松本から特急あずさに乗り込み、早速熟睡。
ふと目を覚ますと、窓の外は吹雪である。

東京に降り立つと雪が舞っている、信州の雪と違って、
東京の雪は、見た目は雪なのだが、衣服に着いた
とたんに水になり始末に悪い。

会議は午前中に終わり、昼食を済ませ、いつもなら
雑談をしながらコーヒーを飲むのだが、
「早く帰った方がいいですよ、東京はちょっと雪が降った
だけでも、電車が遅れますから」との忠告とも脅かしとも
とれる言葉にひたすら怯え、食後のコーヒーをパスして、
下りの特急あずさに飛び乗る。

途中勝沼と石和のあたりは吹雪。
これは松本に着いたら大変だなと覚悟をきめる。
しかし、茅野を過ぎたあたりから雪は小降りに、
そして松本に着くとなんと太陽が出ているではないか。
なんでしょうねこれは。
昼に飲みそこなったコーヒーはどうしてくれるのだ。

結局いつもより二時間も早く家に着いたのだが、
喜んでいるのは犬のコタだけ、風もない穏やかな
夕方の道をいつもの倍もかけて犬の散歩をした。

予測して、準備して、備える。
そして「さあ来い」と身構える。
でもそういう時は大抵”それは”来ない。
そんなものなのだ人生は。


  

2015年02月06日 Posted by igoten at 09:35Comments(3)その他