そそっかしい人
「あんなにそそっかしくて良く今まで人生を生きて来たな」と思う人が
時々いる。
まあそういう私もかなりそそっかしくて人のことは言えないのだが。
あずさクーポンを使ってあずさに乗車する時、私は殆ど席の予約をしない。
理由は「面倒だから」である。
駅に有る切符販売機で予約が多分出来るのだろうが、かなり
面倒そうなので挑戦したことは無い。
ところが最近出張で新宿駅に行ったところ、改札を入った通路の一角に
切符売り場と座席指定が出来るコーナーが有るではないか。
もしかしたらあずさクーポンの座席指定が出来るのではと思い
窓口で訊ねたところ「出来ます」とのこと、さっそく２０分後に発車する
あずさの座席を予約してもらった。
さて、そのあずさが発車する１０分前頃乗車して、
指定席の１８Dに行くとなんとおばさんが座っているではないか。
この列車は指定席も自由席もガラガラで一車両に１０人ほどしか
乗っていない。
おかしいなと思い自分の切符の番号と座席の上の番号をもう一度チェック
していると、座っていたおばさんが気が付いて急にそわそわ。
そして自分の切符を確認すると、「あれ！１７Dだった」とあわてて
前の席に引っ越した。
そんなことはしょっちゅうあることなので私も驚かない。
自分の席に座って、本を読み始めた。
さて、列車が発車して１０分ぐらいすると、車掌さんが入って来て検札する
そぶりをしている。
「おかしいな、指定車両の検札は無いはずなのに」と思ってみていると、
車掌さんは真っ直ぐさっきのおばさんの所に来て「切符を拝見」と言っている。
おばさんの切符を見た車掌さん「１７Dはあちらで、ここは１９Dですよ」と
言っている。
そしてそのおばさんはそわそわと私の席の後ろに...
おばさんホントそそっかしいね、それで良く人生を渡って来れましたねと、
私は心の中で言いながらにやにやして見ていた。
決して人のことは言えないのだが...
