本をつんだ小舟

本をつんだ小舟

宮本輝 (著)
「BOOK」データベースより
母が睡眠薬自殺をはかった夜、押入れの中で読んだ初めての大人の小説「あすなろ物語」。 高校の天城旅行中、眠られぬまま一晩中読み続けたチェーホフ「恋について」。 生涯に一度だけ父親を投げ飛ばした記憶が鮮やかに甦る「青べか物語」。 よるべない青春時代を照らす一筋の光のような存在だった32冊の名作を紹介する読書案内。


もうう何回読んだだろうか。
読めば読む度に味が出てくるエッセイである。
この本から宮本輝の作家としての背景が透けて見える。
多分この本を読まずして、宮本輝の他の作品を
本当に理解することは難しいのであろう。

それとは別に一つの単語をとことん大切にし推敲に
推敲を重ねて物を書いていくプロである作家の自信と
苦悩が感じ取れる。

「楢山節考」についてこのように書かれている。

どこか乾いていて冷めているような、それでいて登場人物も
読者をも突き放しているとは思えない不思議な文章によって
書かれた「楢山節考」は、1956年に、第一回中央公論
新人賞の受賞作品としては発表された。
私がこの稀有な傑作とめぐり会ったのは、それより八年
あとで、私はそのとき十七歳だった。
何かの雑誌に三島由紀夫が「楢山節考」を絶賛している
文章が載っていて、それで、私も読んでみる気になったのだ。

うーん、簡単にして明瞭、どれか一つの単語を変えると、
全体が崩れてしまいそうな、そんな緻密さである。
  

2009年05月09日 Posted by igoten at 12:17Comments(3)読書