シュリーマン旅行記 清国・日本

シュリーマン旅行記清国・日本

H.シュリーマン (著)
石井 和子 (翻訳)
「BOOK」データベースより
トロイア遺跡の発掘で知られるハインリッヒ・シュリーマン。 彼はその発掘に先立つ6年前、世界旅行の途中、中国につづいて 幕末の日本を訪れている。3ヵ月という短期間の滞在にもかかわらず、 江戸を中心とした当時の日本の様子を、なんの偏見にも捉われず、 清新かつ客観的に観察した。執拗なまでの探究心と旺盛な情熱で、 転換期日本の実像を生き生きと活写したシュリーマンの興味つきない見聞記。

なんと驚いたことに、トロイの遺跡の発掘で知られるあのシュリーマンが
その発掘の6年前に、江戸か明治へと変わる3年前の日本に来ているのだ。
しかも素晴らしいことにシュリーマンはその時の日本の様子を克明に
記述していたのである。

この頃の欧米人は皆日本に対する憧れが有ったようだ。
次のような記述がある。

これまで方々の国でいろいろな旅行者に出会ったが、
彼らはみな感激しきった面持ちで日本について語ってくれた。
私はかねてから、この国を訪れたいという思いに身を焦が
していたのである。

次は日本での税関での記述である。

日曜日だったが、日本人はこの安息日を知らないので、
税関も開いていた。
二人の官吏がにこやかに近づいてきて、オハイヨと
云いながら、地面に届くほど頭を下げ、三〇秒もその
姿勢を続けた。
次に、中を吟味するから荷物を開けるようにと指示した。
荷物をとくとなると大仕事だ。
出来れば免除してもらいたいものだと、官吏に一分ずつ出した。
ところが何と彼らは、自分の胸を叩いて「ニッポンムスコ」
(日本男児?)と言い、これを拒んだ。
日本男児たるもの、心付けにつられ義務をないがしろにするは
尊厳にもとる、というのである。
おかげで私は荷物を開けなければならなくなったが、彼らは
言いがかりをつけるどころか、ほんの上辺だけの検査で満足してくれた。

お寺に関しては

境内に足を踏み入れるや、私はそこに漲る(みなぎる)このうえもない
秩序と清潔さに心を打たれた。大理石をふんだんに使い、ごてごて
と飾り立てた中国の寺は、きわめて不潔で、しかも頽廃的だったから、
嫌悪感しか感じなかったものだが、日本の寺は、鄙びたといっても
いいほど簡素な風情であるが、秩序が息づき、ねんごろな
手入れの跡も窺われ、聖域を訪れるたびに私は大きな歓びを
おぼえた。
(中略)
どの窓も清潔で、桟にはちりひとつない。老僧も子坊主も親切さと
この上ない清潔さがきわだっていて、無礼、尊大、下劣で汚らしい
シナの坊主たちとは好対照をなしている。

そして様々な江戸の風俗や景色生活様式を紹介している。

最後にこのように結論付けている。

もし文明という言葉が物質文明を指すなら、日本人は
きわめて文明化されていると答えるだろう。
なぜなら日本人は、工芸品において蒸気機関を使わずに
達することの最高の完成度に達しているからである。
それに教育はヨーロッパの文明国家以上に行き渡っている。
シナをも含めてアジアの他の国では女たちが完全な無知の
中に放置されているのに対して、日本では、男も女もみな
仮名と漢字で読み書きが出来る。

この後はキリスト教徒から見た体制の批判が続くのであるが。

この本は優れた観察能力を持つ西欧人が書いた世界有数の
教育を誇り、清潔で勤勉で誇り高い江戸末期の日本と日本人の
観察記録であり、我々日本人にとっては失ってしまった日本人の
美意識を後悔と共に思い出させてくれる貴重な記録書なのである。
  

2009年05月12日 Posted by igoten at 16:09Comments(0)読書

トンデモWEB業界

トンデモWeb業界

小田原 貴樹 (著)
「BOOK」データベースより
ファンタジーな顧客、奇行に走る経営者、下手なデザイナー、トンズラするプログラマー。 一見華やかなWeb業界の裏側で日々繰り広げられるWebサイト構築現場のドタバタ劇。

Web業界で10年間働いていた筆者がその裏側で
繰り広げられるドタバタを、ユーモアを交えて紹介
している本である。
実はこの本インターネットの「@IT」と言うところに
連載されていたものであるが、本になったということで
あわてて購入した。

この本ところどころにお客さんや、他のWEB技術者との
会話が織り込まれており、その会話がめちゃくちゃ面白い。
特にWEB関係に携わった人にはたまらないだろう。
(私はWEB関係に携わったことはないのだが)

客との会話。
「ぜ、全世界に商品を販売するということは、英語版も作るんですか?」
「いや、作らないよ。そんな予算もないし。でも、
全世界につながってるんでしょ?インターネットって」
「ええ、全世界につながっています」
「すごいじゃない!。ということは全世界でも売れるということでしょ?
あれ、なんていうか『グローバル・スタンダード』だっけ?」
「いえ、普通に『ワールド・ワイド』だと思います。」

自分の父親との会話である。
「ITゆうのは、ええのぉ。もらった金の全部がもうけじゃろうが」
「そんなことはないよ」
「なんでや、材料がいるわけじゃあるまぁが」
「材料はいらんが、回線代とか設備とかいろいろ金がかかるんよ」
「そんなもん、うちでもかかるわぁや」
「いやその割合が大きいんよ」
「そんなの関係あるかぁや、おまえの自己管理ができとらんけぇ、
金がないんだよ」
「まあその部分はそうかもしれんけどね........]
(ちなみに両親はラーメン屋をやっているとのこと)

こんなのが初めから終わりまで書かれている。
これを読むとWEB業界だけは入りたくないなというか、
こんなに面白いなら一度入ってみたいというか.......

おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな 芭蕉
  

2009年05月12日 Posted by igoten at 07:15Comments(2)読書