伊勢物語

伊勢物語

阿部 俊子 (翻訳)

全二巻である、昨年の春に購入したが、
いまだ完読ならず。
同じところを何回も読み直したり、つまらないと
読み飛ばした所をしっかり読み直したりしている。

読んだ中で在原業平の次の歌は特にいいなあ。

世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし

(世の中に桜というものがなかったなら、春に心乱されること
はないだろうに)

「筒井づつ」はストーリーが素晴らしい。
幼馴染の2人が大恋愛の末結婚するが、
年が経つにつれて、妻の親が死に暮らしが貧しくなった。
なんと昔の男は嫁さんの両親の援助で暮らしていたのである。
そこで男は他の女のもとに足しげく通うことになる。
ところが男の妻は男が他の女の処に行くことがわかっていても、
いやな顔一つしないで送り出す。
これはきっと自分が出かけた後に、違う男が通ってくるのだと
疑った男は、出かけると偽って庭の植え込みに隠れ、女を
見ていた。

男が出かけると女は、奇麗に化粧して、次の歌を詠む。

風吹けば 沖つしら浪 たつた山 よはにや君が ひとりこゆらむ

風が吹くと白波が立つように、盗賊が出るという夜の竜田山を
貴方は一人で越えていくのですね。(どうかご無事でありますように)
たつた山は男が他の女のところに行くために越えていく山である。
これを見た男はその優しい心根にうたれ、他の女の処に行くことを
やめるのである。

いつの時代も愚かしいのは男で、賢いのは女なのか。
それともこれは男が書いた理想の女性像なのか。
  

2009年05月07日 Posted by igoten at 20:12Comments(0)読書

秘密

秘密

東野圭吾(著)

直木賞受賞の「容疑者Xの献身」が映画になり
乗りに乗っている東野圭吾の代表作である。

内容は
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、
死んだはずの妻だった。
その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。

これはなかなか面白い作品である。
アマゾンの本の紹介に「カスタマーレビュー」というのがある。
読者が読後の感想を紹介するコーナーである。
「秘密」のカスタマーレビューは265件の投稿がある。
ちなみに「容疑者Xの献身」のカスタマーレビューの数は
122件である。

カスタマーレビューは星の数で面白いか面白くないか
表すことになっている、最高は星5つで最低は星1つである。
この本のカスタマーレビューの星1つのレビューを読むと
愛がないとかそんなことが書かれている。
この本はそもそも推理小説である、推理小説とは
どのように上手に読者を騙すかであり、推理小説の書評は
先ず上手く騙されたか否かを書くべきなのである。
その意味で私は上手に騙された。
  

2009年05月07日 Posted by igoten at 08:31Comments(2)読書