切り抜ける

『タプル』と言う言葉が有る。
複数の組を表す言葉で、数学やプログラムの中で使われる。
タプルは『tuple』と書き、ダブル (double)とトリプル (triple)をくっ付けた
造語である。
このようなちょっと変わった言葉を幾つかポケットに入れておいて、
話で人を煙に巻きたい時適当に言葉に混ぜると効果的である。
これは相当前に、会社で私が有るプロジェクトの管理者を
していた時のことである。
色々な偶然が重なったことと、プロジェクトのメンバーの
チョンボ(ミス)により、プロジェクトの遂行が大幅に遅れ、
お客さんから多大なクレームを貰ったことが有った。
そしてこの騒ぎが大きくなり、対策会議なるものが開催された。
まあ対策会議と言うのは名ばかりで、要するの日頃生意気な
私を、違う部署の責任者がこの機会に寄ってたかって叩いて
置こうと言う、私にとってありがたい会議であった。
会議の当日私はわざわざ東京の本社まで呼び出され、
居眠りなど到底出来ない雰囲気の中に座らされた。
もちろんいくら居直っているといえども私の気は重い。
会議は先ず私のプロジェクトの進捗(しんちょく)の遅れにより、
他の部署がいかに迷惑を被っているかの説明が有り、
その次に社長が私に向かって、
「それで君の所は一体どうなっているのだね」と質問した。
いい加減うんざりしていた私は、一言
「カオスですね」と答えた。
誰かが「カオスじゃしょうがねえな」と言った。
それは偶然ではあるが、絶妙な掛け合いのタイミングであった。
出席者全員に失笑が起こり、座が和んだ。
結局この掛け合いで、鋭く突っ込んでやろうとした人たちの
気合がそがれ、最後には
「まあ色々困難はあるが、頑張ってくれ」
と言うことで手打ちとなった。
自分の非を問い詰められている時の言葉と言うのは結構大切で、
アメリカ人なんかはユーモアでこういう場面を切り抜けるのは上手だ。
2011年05月21日 Posted by igoten at 08:13 │Comments(3) │その他
幸せ者

安曇野は今が一番美しい季節を迎える。
写真右上の山は常念岳である。
毎年この時期この山の由来となった常念坊と言う
酒飲みの坊さんの雪形が現れる。
昔の人は、この雪形が現れると田植えをしたものである。
遠くからお金を払って見に来る価値のある美しい景色を、
会社から通勤費をもらって、毎日見ながら通勤している私は、
幸せ者であるといえる。(笑
2011年05月20日 Posted by igoten at 07:53 │Comments(5) │食事
ごんとゲラ

『 忠犬ゲラート 』という話があります。
ルーウェリン王子がある時可愛がっていた犬ゲラートが、口から血を流しているのを見て、
てっきりゲラートが自分の息子をかみ殺して食べてしまったと思います。
そして激情にかられその犬を殺してしまいまうのです。
しかしその後すぐに息子がゆりかごの下から這い出て来て、実はゲラートは、
息子を襲おうとした狼を倒したということが、わかると言うストーリーです。
これが我が家の

自分の手柄を見せびらかす位の事はすると思われ、
ゲラ君もいまいち工夫が足りない感はあるのですが。
さて、このような話はいくらでもあるのですが、日本ではこのような話にはなりません。
そもそも日本では可愛がっていた犬が自分の息子をかみ殺すなどと言う
発想にはならんのです。
ましてや食べるなんてとんでもない。
新美南吉の『 ごん狐 』
兵十が川で魚を捕っていると、いたずらもののごん狐が、せっかく兵十の
取った魚やウナギを逃がしてしまいます。
その後ごん狐は兵十の母が死んだことを知ります。
さらに自分が逃がしたあの魚は、兵十が病気の母に食べさせたかった
事を知り、自分のいたずらを後悔するのです。
そしてごん狐はいたずらのお詫びとして兵十家に栗やマツタケを
せっせと届けるのですが、そうとは知らない兵十はごん狐が
自分の家に入るのを見て、又いたずらに来たと思い、
ごん狐を鉄砲で撃ってしまうのです。
本当は善行をしているのに間違って殺されてしまうと言う、
似たような2つの話ですが、かなりの相違があります。
先ずゲラートですが、彼には全く過失は有りません。
一方ごん狐はいたずら者で、前科者です。
疑われて当然なのです。
更にゲラートは訳も分からないうちに殺されてしまい、これはもう
救いがありませんね。
ところがごん狐の最後は、
「ごん、お前《まい》だったのか。いつも栗をくれたのは」
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
となっており自分の行為が最後に認められたことを確認して死にます。
この辺が日本人の感性の優しさであって、肉食系の西洋人とは
一線を画すと思うわけなのです。
2011年05月19日 Posted by igoten at 07:57 │Comments(4) │読書
駆け引き

小泉八雲の怪談に『駆け引き(DIPLOMACY)』と言う話が有った、
ある上級武士が、過ちを犯した使用人を処刑しようとした。
処刑される男は必死で命乞いをするが、許されないとわかると、
「私を殺せばあなたたちを呪ってやる」と主人とその家臣たちを脅した。
それを聞いた主人の武士が「もし私たちを呪うというのなら、
首を落とされても目の前の石に噛り付いて怨みのほどを見せてみよ」と
罪人を挑発したところ「きっと噛り付いて恨みを示してやる」と答える。
果たして、主人の刀が罪人の首を落とした瞬間、その生首は庭石にしっかりと噛り付き、
家臣たちは震え上がった。
それ以来家臣たちは何時怨霊が現れるか戦々恐々とし、
物の影や、木が風に鳴る音を聞いても恐れおののき、思い余って主人に、
処刑された男の供養を願い出たが、主人は「その心配は無い」とあっさり言う。
理由を聞いたところ、「怨霊となって人を呪おうとするには強い末期(まつご)
の怨みが必要だが、あの罪人は私の挑発に乗って石に噛り付くことのみを念じて死んだ。
怨霊となることは出来ないだろう。」と答え、彼らは納得した。
結局、首だけになっても石に噛り付いた件の罪人の怨霊は出てこなかった。
Diplomacy (駆け引き) ラフカディオ・ハーン 怪談 より。
と言うことで、これから死のうとしている人を騙すなんてひどい人ですね。
と言うか...何かもっと大切なことを書こうとして忘れてしまった。
何だったのか、眠くて思い出せないzzzz....
追記:
関ヶ原の合戦のおり、小早川秀秋は西軍に力を貸すと言うかねてよりの
約束をたがえ、戦いの最中に西軍を裏切って大谷吉継軍の側面を突く。
この裏切りにより大谷軍は総崩れとなり、吉継は戦場で切腹するのだが、
その折に「人面獣心なり。三年の間に祟りをなさん」と叫んだという。
その為か小早川秀秋は関ヶ原の戦いの2年後、21歳にして狂い死にしてしまう。
2011年05月18日 Posted by igoten at 07:29 │Comments(4) │読書
pyscripter __main__

PyScripterを起動すると
def main():
pass
if __name__ == '__main__':
main()
と言うコードが書かれていますがこれは一体何でしょうね?
__name__と言うのはビルトイン属性で、pythonのあらゆるモジュールが
必ず持っていて、自動的に以下のように設定される。
○そのファイルが起動ファイルに場合はこの属性に値として、
__main__が指定される。
○そのファイルがインポートされる場合は、値としてモジュール
名が指定される。
と言うことだそうです。
つまり起動ファイルで何かしたい場合はこれを使って起動ファイルか
否か調べ、特に必要が無ければ消してしまっても問題が無いと言うことです。
2011年05月17日 Posted by igoten at 23:56 │Comments(0) │Python
いつまであるんだろうね

パンパンに膨らんだポテトチップの袋。
パリパリ景気よく食べてるうちに、残りの量が半分以下に
なると急に心細くなって、食べる速度を落とす。
ブログの容量も同じで、初めは景気よく大きな画像など
アップするのだが、容量の残りが半分以下になると急に不安になり
画像を今までより小さくしたりする。
私の場合も容量が半分以下になったので画像の圧縮度を
上げてアップしてある。
従って上の画像が少しボケているのはその為で、
決して私の撮影テクニックが悪い訳ではない。
念のために。
さて我が家の鳥の餌場も、3年目に入って
かなりねんきが入って、庭に溶け込んで来た。
餌台に上にある丸い物は、なんとアメリカ製の
メジロの餌で、この様に餌場に置くとメジロが寄って来ると言う。
私の会社の先輩がアメリカに出張に行った時に、嬉々として
買って来たものだ。
ズーットここに置いてあるが、メジロが来たことは無い。
「マカデミアンナッツのチョコレートの方が良いです」と言えと
女房は言うのだが、そんな失礼なことは言えないし...
「どうだ、メジロ来たか?」と言う先輩の問いに、
「なんかアメリカのメジロと日本のメジロでは趣向が少し
違うんではないでしょうかね」と私は答える。
ヒヨチャンンも食べないし、いつまで有るんだろう、
捨てるにはちょっと勿体ない気もするのだが。
2011年05月17日 Posted by igoten at 07:23 │Comments(2) │その他
失神寸前

アスパラ畑で作業をしていたらこの虫がいた。
初めはテントウ虫かと思ったが、良く見ると違う。
ホシベニカミキリと言う虫のようだ。
もちろん害虫。
人間の都合で虫たちも益虫になったり害虫になったりする。
理不尽な話だ。
会社の都合で良い社員になったり、悪い社員になったりするのと同じだ。
そしてこれも又人間社会と同じで、害虫の方が益虫より圧倒的に多い。
写真のフォーカスがいまいち甘いのは、被写体が風に揺れているからで、
私の腕が悪い訳ではない。
私と言えば、三脚を使っている上に、さっきから風がやむのを
待って息を止めており、もう少しで失神寸前なのだから。
2011年05月16日 Posted by igoten at 07:32 │Comments(2) │画像
なんじゃろね、これは

蜜のあわれ
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆうぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかえらばや
遠きみやこにかえらばや
ご存じ、室生犀星の詩である。そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆうぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかえらばや
遠きみやこにかえらばや
最初の2フレーズを発見しただけで、もうこの人は
生まれてきた価値があるように思われる。
続いて次の会話を読んでみてほしい。
「それからね、いろいろ買っていただかなくちゃ、
あたい、何一つ持っていないんですもの、
ネックレスだの、時計だの、時計はきん色をした
ぴかぴかしたのをね、それから指輪もいるけど靴だの
洋服だの、......」
「きみがそんなものを着たり嵌めたりしたら、お化けじゃないか。」
「お化けでも何でもいいわよ。買っていただけるの。」
「買うよ。おじさんの買い物を控えめにすれば、何でもかえる。」
「もう一つ肝心なことは毎月こずかいをどのくらい貰えるの、
それを決めてかからなきゃ、それが一番肝心なことだと思うわ。」
「そうだな千円もあればいいじゃないか。」
「千円ぽっちで何が買えるとお思いになるの、どんなに少なくとも
五万円いただかなくっちゃ暮せないわよ。」
「五万円というお金はおじさんの小説を一つ書いたお金の高だよ、
それだけ毎月きみにあげたらおじさんこそ、どうして暮しいいいか
判らない。まアせいぜい一万円くらいだよ、それで少なかったら
恋人はやめだ。」
「こまるは、一万円じゃ。じゃね、クリイムだのクチベニのお金は
時々別の雑費として出していただけます?」
「それは随時出すことにするよ。現金では一万円以上はとても
出せないよ、金魚のくせに金とってどうするつもりなの。」
「じゃ一万円でいいわ、ふふ、一万円の恋人ね、あたい、
はたらくことにするわ、縁日の金魚盥(だらい)にでてゆくわ。」
これはいい年をしたおじさんと女子大生の援助交際の相談あたい、何一つ持っていないんですもの、
ネックレスだの、時計だの、時計はきん色をした
ぴかぴかしたのをね、それから指輪もいるけど靴だの
洋服だの、......」
「きみがそんなものを着たり嵌めたりしたら、お化けじゃないか。」
「お化けでも何でもいいわよ。買っていただけるの。」
「買うよ。おじさんの買い物を控えめにすれば、何でもかえる。」
「もう一つ肝心なことは毎月こずかいをどのくらい貰えるの、
それを決めてかからなきゃ、それが一番肝心なことだと思うわ。」
「そうだな千円もあればいいじゃないか。」
「千円ぽっちで何が買えるとお思いになるの、どんなに少なくとも
五万円いただかなくっちゃ暮せないわよ。」
「五万円というお金はおじさんの小説を一つ書いたお金の高だよ、
それだけ毎月きみにあげたらおじさんこそ、どうして暮しいいいか
判らない。まアせいぜい一万円くらいだよ、それで少なかったら
恋人はやめだ。」
「こまるは、一万円じゃ。じゃね、クリイムだのクチベニのお金は
時々別の雑費として出していただけます?」
「それは随時出すことにするよ。現金では一万円以上はとても
出せないよ、金魚のくせに金とってどうするつもりなの。」
「じゃ一万円でいいわ、ふふ、一万円の恋人ね、あたい、
はたらくことにするわ、縁日の金魚盥(だらい)にでてゆくわ。」
をしている会話ではないのだ。
おじさんと話しているのはなんと『金魚』なのである。
この金魚買い物に行ったり、歯医者にいったりする。
そして書いたのはこれも文学界の重鎮室生犀星である。
よく散歩の途中で犬と大声で話している人を見かけるが
これに比べればそんなことは何でもないことである。
読み進めば読み進むほど、もう何が何だか。。。。。。
2011年05月15日 Posted by igoten at 08:14 │Comments(0) │読書
不思議空間

都会には何か妙な空間と言うのが有る。
私がちょくちょく行く、東京のある駅ビルの2階の片隅に、
こじんまりとした回転ずし屋が有る。
本当に小さな寿司屋さんで、板さんが一人いて、10人位
お客さんが入れば満員になる位の広さである。
ある日、昼食をとりにそのビルに行ったのだが、あいにく
行きつけの中華料理屋が休みで、仕方なく同僚と3人で
その回転寿司屋に入った。
その寿司屋には一人男性の先客がいた。
そして我々が席に座って、上がりなどを飲んでいると、
更に中年の女性が2人入ってきた。
その女性たちのうち一人は地味な格好の女性で、もう一人は
グリーンの少々その女性の年齢には派手な制服を着ていた。
しばらくてんでバラバラ好きな寿司のお皿を取って食べていたが、
たまたま板さんがヒラメの縁側を2皿コンベアの上に置いた。
そして一番川上に居た男性の客がその縁側を一皿取った。
すると我々よりコンベアの下流に居た、その派手な制服の
女性が、
「わたし、縁側食べたーい」
と同伴の横の女性に話しかけるでもなく、皆に聞こえるように
言ったのだ。
「自分はヒラメの縁側を食べたいので、前の人取らないで」と
言っているのだ。
こんなルール違反は初めてで、私も面食らった。
やがて全員注目のヒラメの縁側が私の前に回ってきた。
もちろん無視、とてもそれを取る勇気は私には無い。
次に座っている私の同僚も同じく無視で、スルー。
と、何ともう一人の私の同僚がその縁側の皿をひょいと取ったのである。
その同僚の席を一つ開けて隣は、派手な制服の女性である。
気まずい沈黙。
私など怖くてそのおばさんを見る勇気も無い。
そして3人そそくさと寿司屋を出て来た。
その晩、仕事が終わってから一杯飲みながら、自然と昼の話題になった。
私が縁側の皿を取った同僚に、「あのおばさんの言ったこと聞こえなかったの?」
と聞くと、同僚は「一番近くに居たので良く聞こえたよ」と言う。
「それならなぜ縁側の皿取ったんだ?」と私が訊ねると、その同僚は
首を傾げながら、「俺、ああいうの苦手なんだよな、じっと我慢してたんだけど
皿が通り過ぎようとした時、ひとりでに手が出ちゃって」と言った。
そうしたらもう一人の同僚も、「俺ももう少しで手が出るところを
かろうじて我慢してたんだよ」と言う。
実は私もその皿が目の前に来た時手がむずむずしてしょうがなかったのである。
その後何故そうなったかの話になった。
あの女性、ちょっといじめたくなるタイプだったんじゃないかとか、
ルール違反が許せなかったとか色々意見は出たが、
結局「あの寿司屋そう言う雰囲気だよな、変なことが起こるような」
と言う結論に落ち着いた。
2011年05月14日 Posted by igoten at 08:12 │Comments(5) │食事
都会には住めん

朝一番の電車で松本まで行き、特急あずさに乗って東京に。
家を出る時には良く晴れていたのに、諏訪を通り過ぎる頃から
雨が降ってきた。
あずさは立川駅で中央線の快速に乗り変えて、都心に向かう。
朝の9時頃で既に通勤時間帯のピークからずれているのに
結構混んでいる。
国分寺駅で前の席に座っていた人が降りたので、席に座ろうと
網棚の荷物に手を伸ばした時、私の右斜め後ろにいた若い女性が
するりと私の前の席に腰を下ろして、何も無かったかの様に
携帯電話を見始めた。
仕方なく私は半分下ろしかけた鞄を再び網棚に載せ、憮然とした
表情で、「こんなところには住めんな」と思った。
まあ住めばすぐ慣れてしまうのだが。