ネコたちのレクイエム1

眼を閉じて思いかえすと子供の頃からいつも
ネコが傍にいた。
中学生のころだろうか、雨の降る冷たい夜、
びしょ濡れになったネコが寝ていた私の蒲団の
中に突然入ってきて、ごろごろ言いながら
私のお腹のあたりで丸くなっている、
その冷たくて暖かい感覚を今でも思い出す。
昔はどの家にもストーブなど無かった。
せまい掘り炬燵に家族5人が集まりひしめくように
夕食をとっている、そんな中でもネコはネコで
ちゃんと自分の居場所があり、時々炬燵の中から
這い出してきて、自分の分け前を要求する。
家族全員が外出して夜帰って来て玄関の戸を
開けようとすると、どこからかネコがやってきて、
母の足にまとわりついて鳴いている。
そんな時は母は先ずネコにたっぷりの夕食を
やってから家族の食事の用意にとりかかった。
いったい何匹の猫が私の前を通り過ぎたのだろう。
黄昏の中に消えていったネコたち、これはその
ネコたちのレクイエム(鎮魂歌)である。
ネコたちのレクイエム
夕飯の時母が「野良猫が物置の隅で子供を産んだ様なの。」と言った。
当時母は74歳位であった。
私は黙って聞いていたが内心弱ったことになったと思った。
我が家の近くでは最近野良猫が急に増えて、
家の中の食べ物を取られるなどのの被害が出ていた。
次の土曜日私は母が言っていた物置小屋の隅を覗いてみた。
我が家の東側にある物置小屋と隣の家の境に30cm位の
空間が有り、長い洞穴の様になっており、猫はその中に
居ると言う。
しばらく私は子猫が居ると言う、その隅の暗がりを
覗いていたが何もみえなかった。
そして「何も居ないじゃないの」と言ってその場を離れた。
事実小屋の隅は薄暗くてはっきりとは見えないのだが、
生き物など何も居ないように思われた。
しかしである、私が小屋から少し離れて小屋の隅を
見るともなしに見ると、小さな子猫らしいものが2~3匹
ちょろちょろと穴の中から出たり入ったりしているではないか。
「あれー!」と私は言って、再び小屋に戻ってその
隅の中を覗いてみた。
しかしいくら目を凝らして見ても猫らしいものは
全く見えなかった。
「おかしいな」と言って、私は近くに有った竹の棒で
小屋の隅の真ん中辺りを突っついて見たけれど
子猫らしいものは出てこなかった。
続く。。。
(「ネコたちのレクイエム」は私のホームページに書き込んだ
ものを少し書き直してUPしています。)