実りなき秋

英名 Fruitless Fall (果実のない秋)
日本名 『ハチはなぜ大量死したのか』と言う本を読んだ。
何と2007年までに北半球から1/4のミツバチが消えたのだ。
この本はその原因を究明しようとして書かれたのである。
結局この本では複合汚染ではないかとの結論であるが、
ミツバチにも色々な種類があり、現在養蜂家が飼っている
ミツバチがイタリア原産の西洋ミツバチで、このミツバチが
最も効率よく蜜を集める。
ただし効率が良いが故の弱さがあると言うのである。
もし世の中からミツバチが消えると人類は壊滅的な
打撃を受けるとこの本は警告する。
現在日本の養蜂家が飼っているミツバチも、西洋ミツバチ
であるが、昔から日本には日本ミツバチと言う西洋ミツバチ
と比べてとても大人しいミツバチがいるという。
そしてこの本には、この日本ミツバチのとても面白い
習性が書かれている。
オオスズメバチが集団でミツバチの巣を襲って
その巣の中に侵入し、巣の中の幼虫やさなぎを
餌にすることは良く知られている。
オオスズメバチが西洋ミツバチの巣を襲うと、
西洋ミツバチは一斉に巣から飛び出して、
オオスズメバチに立ち向かうが、ことごとく
オオスズメバチにかみ殺されて、2~3万の
ミツバチが3~4時間で全滅してしまう。
ところが、日本ミツバチはオオスズメバチに
襲われると、巣から出て反撃ぜずに、巣の
近くにいる働き蜂が集まる。
そしてオオスズメバチが巣の中に入るやいなや、
一斉に働き蜂が飛びかかり、何十もの体で
蜂の球を作り、オオスズメバチを閉じ
込めてしまう。
そしてその蜂の球の中では、働き蜂の
飛翔筋により内部の温度が48度位まで
上昇して、オオスズメバチを蒸し殺して
しまうというのである。
オオスズメバチの致死温度は44度~46度で
あり、一方日本ミツバチの致死温度は
48度~50度である。
このわずかの温度差を利用した「蒸し焼き」
戦術なのだ。
この本にはミツバチの習性がとても詳細に
書かれていて、何か趣味でミツバチを
飼ってみたくなる。
特におとなしい日本ミツバチなんかを
飼うのも面白いと思うのだが。
「趣味は何ですか?」と聞かれた時に、
「養蜂です」などと答えるのは面白いではないか。
それとミツバチが好む花を育てるというのも
何とも風流ではないか。
『庭で飼う初めてのみつばち ホビー養蜂
入門』と言う本がお勧めのようだ。