敗北

先ほどからそいつは光る眼でこちらを狙っている。
たとえ奴が隠れていても、私にはその気配でわかるのだ。

彼らは我々とは完全に別の生物だ。
そしてこの果てしない戦いは既に5年以上もも続いている、完全な消耗戦だ。

平和なこの場所に彼がやって来た時から戦いは始まった。
これまで我々はいったいどの位の犠牲を費やしたことか。

彼らは本当に素早い、そして並はずれた飛翔力で狙い澄ましたように 獲物に飛びかかるのだ。
ほんの一瞬の気の緩みが完全な敗北に繋がるのだ。

そして今、じりじりと彼が近寄ってくる気配を感じる。

もう彼はすぐ近くにいる、彼の吐く息が私にかかるほどに。

危険だ、しかしどうしたことか私の意識が薄れてゆく、だんだんに....
遠のいていく意識の中で私はかすかに妻の悲鳴を聞いた。

「キャー! あなた、タマがまたあなたおかずの魚をとったわよ。
酔っ払って居眠りなんかしないで、しっかり見張っていなきゃ 駄目じゃないの」


すみませんね、騙すつもりなんかほんのちょっとも無かったんですがface03 結果的にはこんなのになってしまいました。

猫から見た人間てどんなんだろうね。
ところで先日書いた『化嫌い』と言うショートショートは
http://kotanero.naganoblog.jp/e359069.html
空から降りてくるのが人間で、住んでいるのは別の生物 という設定なんですが、わかりにくかったかなァ。
  

2009年12月21日 Posted by igoten at 07:16Comments(4)SF

消してしまった!

ブログの記事を書こうと思って、昨日の記事をコピーして 本文の部分を消し、今日の記事を書いた。

そして書き終わった。

ところが何を思ったか、そのまま新しい記事をコピーして 昨日の記事の上に貼り付け保存してしまった。

つまり昨日の記事に新しい文章を張り付けて消してしまったのだ。
焦った、昨日の記事なぞ覚えてはいない、しかもコメントが 付いている。

もちろんバックアップなど取ってはいない、ギブアップだ。

あきらめかけたが、もしかしてと思い、自分のIDと 昨日の記事のタイトルを入れて、『Google』で検索。

あった!

あわててGoogleの記事をコピー、昨日の記事に貼り付けて 復活完了。

『Google』先生ありがとう!

  

2009年12月20日 Posted by igoten at 07:10Comments(8)その他

イータ!


「ねえマイクちょっと私の部屋に来てくれない」
妻のキャサリンは研究室の半分開いた扉から顔を出してそう言うと、再び 扉を閉めて行ってしまった。

私はちょうど来月に学会誌に発表する予定の遺伝子に関する 少し複雑な計算をしている途中であった。
いつもなら「ちょっと待ってくれ」というところだが、キャサリンの声が 普段と違って少し興奮しているように思えたので、やりかけの計算式を そのままにして立ち上がった。

キャサリンの研究室は私の研究室の斜(はす)向かいにあって、 間取りはほとんど私の部屋と同じであった。
私は扉を軽くノックをしたが、彼女の返事を待たずにそれを開けて中に入った。

彼女はすでにパソコンの前に座りモニターの画面を食い入るように見ている。

「マイクこの数式を見て頂戴」
私が近付くとキャサリンはそう言ってモニターの載せてあるデスクから少し身をひいて、 近くにあったもう一つのイスを引き寄せると、自分の椅子の横に並べて、 私に座るように言った。
彼女の声にはどこか興奮を無理やり抑え込んだような不自然さがあった。

出された椅子に腰をかけると、私はモニターに映し出された複雑な数式を見た。
それは明らかに遺伝子がある状態から異なる状態に変化することを表した数式であった。

私はしばらく画面に描かれた数式を眼で追っていたが、 その数式の中に書かれているある記号の役割がどうしても理解できなかった。
「このη(イータ)っていったい何だい?」
私はキャサリンに訊ねた。

ηは外力なの」キャサリンは答えた。
その声には何かとてつもない重大な発表をするような響きがあった。
「外力か、しかしこれは...」私は言い淀んだ。

「マイク、私は何度も確かめたのよ、何度も。 しかもこの数式はあなたが何年もかけて集めてくれたデーターから導き出したものよ 貴方の教えてくれた方法で」

私はひどく混乱していた、そして言おうか言うまいか少し考えていたが、 やがて吐き出すように言った。
「そうすると君はこの地球上の全の生物が何らかの見えない 数式に従って発展して来たと言うのかい」

「そうなるわねマイク、私もはじめは信じられなかったわ、でもよく調べてみると 生物の進化の過程で、どうしても理解のできない遺伝子の変化が起きているの。 それは生物の長い進化の過程の重要な分岐点で必ず現れるているわ。 私も色々な可能性を考えたの、でもなぜそうなるのか皆目見当がつかなかったの」
キャサリンはそこで一息入れると続けた。

「そしてそれらのことは、ある外力を想定して式を立てると、すべて合理的に 説明が付くことに気がついたの」
キャサリンの声は明らかに興奮していた。

「これがその数式なのか、そのことに関しては僕も少しは感じていたさ、 人間の進化が単にランダムに発展したのではないのではないかと.... そうすると君はこのηが神だって言うのかい」
私はまるで自分自身に質問するかのように訊ねた。

「わからないわマイク、でも私はそうじゃないと思うの、もしηが神だとしたら、 故意に戦争を起こしたりして罪もない人々を数えきれない程殺すかしら」

「じゃあこのηはいったい何なんだい」

「それはさっき言ったように私にもわからないの、でも何かとてつもない大きな力がこの世の中の全ての 事象をプログラムして、動かしているのよ。 たぶんこれからの私の仕事はこのηを探すことになるのでしょうね。 そのうちきっと答えを見つけるわ」

私はキャサリンの顔とモニターの画面を交互に見ながら考えていた。
もしキャサリンの言うようにηが存在してそれが何か判明したとしたら、 人類はいったいどうなってしまうのか。
しかも既にそれすらプログラムされているというのか。

「マイク、今日はもう仕事は止めて早めに家に帰らないこと、もしかしたら 私たちの研究も根本から見直す必要があるかもしれないわ」

私の取りとめのない思考は、キャサリンの声で中断された。

しばらくして私とキャサリンは何重ものセキュリティチェックを経て、 中央総合遺伝子研究所の通用門を出ると、郊外の自宅に向かって車を走らせた。

途中我々はテイクアウト専門の中華料理屋で夕飯を仕込んだ。
「マイク、ジョンんはもう学校から帰ってきているかしら、最近なんだか 勉強に身が入っていないように見えるんだけど」
助手席に座ったキャサリンはテイクアウトの中華料理の紙のバッグを 少し傾けながら言った。

「そうだな僕の方からすこし注意をしておくよ」
先ほどのことが気になって殆ど上の空で私はそう応えた。

自宅の玄関のドアを開けて家の中に入ると居間の方から明かりがもれてる。
私とキャサリンが居間に入って行くと、息子のジョンがテレビの前に座って 一人でゲームをしていた。

「ジョン帰っていたのかい、宿題は済んだだろうね」
私はジョンに尋ねた。
「うん、パパ宿題は帰ってきてすぐにやっちゃったよ」

「ゲームばっかりしていちゃ駄目だぞ、もうすぐ夕御飯に なるからゲームを止めにして手を洗ってきなさい」

「わかったよパパ、でもちょっとこれを見てくれない、 このゲーム新しく出たばっかりなんだけどすごく面白いんだ、 昔『シムシティ』というゲームがあったでしょ、都市が発展したり 滅びたりするやつ、このゲームはそれに似てるんだけど、細かな 設定をすると人間や生物が進化したり滅亡したりするんだ。
とっても複雑で信じられないほど面白んだ」

「面白そうだね、だけどジョンもうすぐ夕食だからゲームを止めにして 手を洗って来なさい」
そう言って私は横にいる妻のキャサリンの方を見た。

キャサリンンはまるで亡霊にでも会ったような蒼白な顔をして ゲームが映し出されているテレビ画面を凍りついたように視ていた。

開け広げられた窓のカーテンが僅かに揺れて、じっとりとまとわりつくような 部屋の空気が少し動いた。
  

2009年12月19日 Posted by igoten at 07:10Comments(4)SF

わー!かわいそう


銀行の窓口での会話。

行員の女性:「○○○」
私: 「○○○」
行員の女性:「やー!こまる」
私:「○○○」
行員の女性:「わー!かわいそう」

いったい私は何をしたのでしょうか?
○○○に言葉を入れてみます。

行員の女性:「これ罰金ですか?」
私:「さっき前の道で18Kmオーバーicon17でつかまちゃった」
行員の女性:「やー!こまる」
私:「おふくろを病院に連れて行こうと、いつ通らない道を通ったら」
行員の女性:「わー!かわいそう」

はいやられました先日、40Kmのところを18Kmオーバーで、
30年ぶりに、1点減点で12,000円の罰金です。

銀行の窓口の女性にさんざん同情されました。
とても反省してます、捕まったことを。

女房は「あんなネズミ捕りで有名なところで捕まるなんて馬鹿よ」と言って慰めてくれました。
銀行の女性行員とはだいぶ違います。

くやしいからせめてブログのネタにします。
みんな笑ってやって下さい、「人の不幸は蜜の味」ですからface03

でも何であの道のあんなところが制限速度40kmなんだろうね。

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2009年12月18日 Posted by igoten at 07:13Comments(10)その他

君にはまけた


これは我社に伝わる伝説的は話である。

真夏のうだるような暑い日、入社2年目のM君とK君は 会社の近くの喫茶店でランチを頼んだ。
ところが何を思ったかM君はランチにビールを1本追加したというのだ。

そしてビールが運ばれてきた時なんと、いつもは来たことのない、 上司のあの嫌われ者のT部長が入ってきたという。
もちろん就業時間中のアルコールは禁止。
絶体絶命のピンチである。

「私は固まりましたよ」とK君は言う。

ところが何を思ったかM君は運ばれてきたビールを持って T部長の所に行き、「一杯どうですか」と言ったというのだ。

この話をK君から聞く度に我々は笑い転げ、椅子から転げ落ちるものまで 出る始末であった。

  

2009年12月17日 Posted by igoten at 07:04Comments(4)その他

やめたい君

Aさんが私のところに来て困ったと言った。
どうしたんですかと聞くとB君のことだと言う。

AさんによるとB君は1年に一回位病気が出るのだそうだ。
そのB君の病気とは「やめたい病」である。

B君は何か会社に特定の不満があるわけでは無いのに会社を 辞めたいと言ってくるのだ。

Aさんは「もう既に新しく勤める会社が決まっているならしょうがないが、 決まっていないならせめて次の会社が決まるまで、うちの会社に いたらどうか」といって慰留したと言うのである。
過去にも何回かこんなことがあったとAさんは嘆(なげ)く。

私はその話を聞きながらAさんの顔を見ていた。

Aさんはとても厳しいところがあって、誰かが辞めたい と言ってくれば「おお、辞めたら良いんじゃないか」と 言うような人である。

ところがどうしたことかB君に関してはとても優しいのだ。
B君はわが社に入って5年位、特に優れた能力があるとも 思われないし、彼が辞めても当面困ったことなど起こらない。

なぜだろうなと思いながら私はもう一度Aさんの顔を見た。

結局次の年にB君は会社を辞めていった。

  

2009年12月16日 Posted by igoten at 07:11Comments(3)その他

どうしたものか

朝早く出社して、昨日やり残した仕事を一通り片付け、 ゆっくり朝のコーヒーを一杯と思っているところに いつもは会社の始まるぎりぎりに飛び込んでくるA君が 神妙な顔つきでやってきて、辞表を出しながらこういった。

「私の意見を聞いてもらえないので辞めます」と。

A君に事情を聞いてもどうも、もう一つ要領を得ない。
仕方がないのでその場は、とりあえず辞表は預かっておく。

そして後ほどA君の上司のB君を呼んで事情を聴く。

「おかしいな彼は会議の時なんかもほとんど 自分の意見は言わないし、最近意見が合わなかった などと言うことは有りませんが」
と言って彼は頭を傾げた。
そして「少し調べてみます」と言ってB君は出て行った。

やがてB君が「事情が少し判りました」と言ってやってきた。
B君の話だと、A君は今年会社の忘年会の幹事で、忘年会 を企画していたのだが、B君にO温泉郷のPホテルに 努めている友人がいて、不況でホテルに全然お客さんが 集まらない。
そこでB君の友人はB君に是非会社の忘年会を自分の 勤めるホテルでやってほしいと依頼したのだという。

B君は幹事でなのである程度忘年会の場所を決める権限が 有るので、そこで友達の依頼に二つ返事でOKをした と言うのである。

ところが「忘年会をPホテルで行います」と表示したところ O温泉郷は遠すぎるという意見がたくさん出され、もし Pホテルでやるなら欠席するという人が続出して、B君は 弱ってしまったとのことである。

私はB君の「辞表」を見ながらどうしたものかと 考え込むのである。

これは実際に有ったことを若干すじを変えて書いています、もしかして当事者が読んで これは俺のことだなんてならないように....
  

2009年12月15日 Posted by igoten at 07:12Comments(9)その他

すっぴんだけはご勘弁


もし女房がすっぴんで誰かの結婚式に行くなんて言い出したら 私は驚愕して、気でも違ったのかと問い詰めるだろう。

「だってあなた化粧ってのは人を騙すことでしょう」
などと言ったら私は即座に救急車を呼んで、女房を 精神病院まで送ってもらうか、 「おまえそう言っても他人の迷惑ってのを少しは 考えろよ」と言うかどちらかである。

何て言ったってあの”吉永小百合”さえ化粧をしてるもんね。

もしブログに本心だけを書く人がいたら怖いだろうね。
「頼むから私のことだけは書かないで」と言うか、 その人とは絶対友達にはなれないな。
もし間違って友達になったりすると、中傷合戦、暴露合戦 が始まったりする。

「小学生の子どもなんか化粧はしませんよ」と言う人が いるかもしれないけれど、だから子供の書いたブログで とんでもないトラブルが発生するのだ。

ブログを書く時だって誰でも多少は飾るのだ。
時々かなり本心を書いて「どひゃー」っと人を驚かせる 人もいるが、そういう人はたいてい自分のことを書いている。
自分の事ならいくらでも書いてほしい、面白いから。

もうすぐ正月だからみんなイッチョウライで着飾って化粧して 美辞麗言を並べたてようではないか。

どのような書き方をしてあっても、長い間読んでいるとその人の 生き方や考え方が少しずつ解ってくるのだ。
そしてそれがブログの面白いところであると思うのだが。
  

2009年12月14日 Posted by igoten at 07:11Comments(7)その他

出直します

ブログのデザインを一新しました。

初心に帰ってまた新たな気持ちで書きたいと思います。
そこで一番はじめに書いた記事をもう一度アップします。

 
  菜根譚(さいこんたん)
  洪 自誠 (著)
  
BOOK データベースより
『菜根譚』は今から三百数十年前、中国明代の洪自誠が人間いかに生くべきかを、 様々な角度から論じた人生指南の書である。
本書は、「儒・仏・道」の三教を根幹とする『菜根譚』の真髄を体得して日常生活の指針とするため、 儒・道教の専門家と仏教、特に禅学を専攻する学者の2人が、 長年に亙り原典を全面的に見直し、これを究明し、その成果を新たに書き下ろしたものである。 現世を生きぬく知恵と処世の極意が満載された必読の書。





長年会社勤めをしていると不満、不平、挫折感、 孤立感などの色々な塵芥(ちりあくた)が溜まってくる。

そのような時私はこの本を読む。
この本を読むと心の中に溜まった有象無象の雑念がリセットされる気がする。

棲守道徳者、寂寞一時。
依阿権勢者、凄凉万古。

自分が正しいと信じていることをしていても人は時として
寂しさ(寂寞)を感じるものである。

自分より権威や権限のある上司や経営者にへつらうのは
人間としての寂しさである。

たとえ一時的に孤独でも、人間としての虚しさを選択して
はいけない。

洪自誠はこのように説く。
  


2009年12月13日 Posted by igoten at 07:10Comments(3)その他

丁度のやつは居ないのか


どう見ても実力が無いのに自信過剰の人ってのは いるものです。
「部長、大丈夫ですよ任せて下さい、心配ありませんから。
 え!この前、あれは先方がおかしいんですよ、あんなこと されたんじゃこっちだってたまったもんじゃありません。
とにかく今回は大丈夫ですから」

なんて言うのでついその気になって任せると、やっぱり失敗 している。

「やあ、まいったな、運が悪かったんですね」

こっちの方がよっぽど運が悪いと言いたい。

かと思えば実力は十分あるのに、徹底して自信の 無い人と言うのはあるもので、

「え!そんな難しい仕事は私には到底無理ですよ、 出来っこ有りません。
は、この前、あれは単に運が良かったでけですよ、 2度とあんな風には出来ません。」

それでもと思いやらしてみる、いとも簡単に やってしまって、
「今回も結構運が良かったな」
などとのたまっている。

そうかと思えばまったく何も言わない人もいる。

「じゃあそういう訳で後はよろしく頼んだよ」

「.....」

「大丈夫だよね君に任せておいて」

「.....」

そして後日、

「君、あの仕事はうまくいったのかね」

「.....」

これもまた困る。

まったく、丁度のやつはおらんのかな。

  

2009年12月12日 Posted by igoten at 07:10Comments(2)その他